研究概要 |
(1)追跡期間中発症した57例の心血管疾患(CVD:冠動脈疾患33例、脳卒中24例)とベースラインの肥満度:BMIが25以上、血圧:正常高値(130-139/85-89)、I度高血圧(140-159/90-99)、II・III度高血圧(160-/100-)、喫煙状況:禁煙、現喫煙の3つの危険因子について年齢と性を補正したハザード比(95%信頼区間)を求めた。その結果、BMI25以上、I度高血圧、II・III度高血圧、現喫煙は統計学的有意にCVD発症リスクの上昇と関連した(ハザード比と95%信頼区間は順に1.9 (1.1-3.2)、2.1 (1.1-4.2)、4.1 (1.8-9.0)、2.5 (1.4-4.7))。 (2)潜在性動脈硬化のバイオマーカーとして、AlphaLISAで複数のタンパク質、ペプチド抗原を測定し、心血管疾患ならびに糖尿病発症との関連を検討した。 (3)追跡中コホートの生活習慣等に関する再調査を、新規対象者を追加して実施した。対象職域に所属する10,748名に対して、生活習慣アンケート、病歴アンケート、健診成績の提供、遺伝子解析を含む血液及び尿の寄付、バイオバンク提供の各項目について協力の可否を尋ねる同意書を配布し、9,251名(配布数の86.1%)から回収した。それぞれの同意者数は、生活習慣アンケート:6,046名(回収数の65%)、病歴アンケート:5,622名(同61%)健診成績提供:5,555名(同60%)、血液及び尿の寄付:4,546名(同49%)、バイオバンクへの提供:4,188名(同45%)であった。生活習慣アンケートに同意するとした6,046名に、後日アンケートを配布し、5,630名(配布数の93%)から回収した。アンケート記載内容のチェック後、入力を完了した。そして、対象者への情報還元として、栄養計算結果およびがん・循環器疾患リスク推定結果を返送した。また、血液検体は、3,379名(同意者のうち実際に健診を受診した3,516名の96%)から提供を受けた。
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