研究課題/領域番号 |
22390134
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
谷川 武 愛媛大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80227214)
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研究分担者 |
斉藤 功 愛媛大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (90253781)
櫻井 進 愛媛大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (50375515)
加藤 匡宏 愛媛大学, 教育学部, 准教授 (60325363)
山内 加奈子 愛媛大学, 教育学部, 研究員 (20510283)
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キーワード | 睡眠時無呼吸症候群 / 睡眠呼吸障害 / 糖代謝 / メタボリックシンドローム / フローセンサ検査 / パルスオキシメトリ検査 / 血圧 / 肥満 |
研究概要 |
本研究は、地域住民を対象に糖代謝に及ぼす睡眠呼吸障害(SDB)の影響について、様々な交絡要因を考慮に入れ疫学的に明らかにすることを目的としている。 これまでに、愛媛県東温市の30~79歳の男女住民を対象に、(1)血圧、中心血圧・AI、家庭血圧、(2)SDB検査(パルスオキシメトリ法・フローセンサ法)、(3)75gOGTT(空腹時、1時間後、2時後の各血糖値とインスリン値)、(4)血液検査、(HbA1c値、尿酸値、血清アルブミン値、白血球数、赤血球数、ヘモグロビン量、高感度CRP値)、(5)身体活動量計測(加速度計)、(6)栄養問診(半定量的食物摂取頻度法)、(7)ウエスト周囲径等および(8)問診について、詳細な疫学調査を実施してきた。 今年度は7月~11月の5ヶ月間に実施し計468名のデータを収集した。昨年度のデータと合わせて、総計約1,600名のデータを収集した。 また、昨年度までの約1,100名のデータを用いて、糖代謝に及ぼすSDBの影響について解析を実施した。パルスオキシメトリ検査により評価した3%ODI値と75gOGTTのデータに欠損の無い男女1,021名を対象として解析を行った結果、3%ODIが15以上の人は5未満の人に比べ、境界型および糖尿病型のオッズ比が1.67(95%信頼区間1.03-2.71)であり、3%ODIが高くなるにつれ、耐糖能異常の有病率が高くなることを示唆した。 その他、睡眠呼吸障害以外にも、交絡要因となる栄養因子とインスリン抵抗性の関係を解析した結果、βカロテンや緑黄色野菜の摂取量が多いほどインスリン抵抗性(HOMA指数1.6以上)の有病率が低いことや、中心血圧とインスリンとの関係を解析した結果、インスリン感受性の低下もしくは抵抗性の増大が中心血圧に対する末梢血圧の上昇をもたらし、インスリンによる末梢血管抵抗増大の可能性が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は468名のデータを収集し、これまでに調査した人数は約1600名となる。研究計画に比べ調査人数は下回るが、予定していた検査については、おおむね実施でき、欠損データはわずかである。また、昨年分までの約1100名分のデータの整理が終了したことから、データ解析を行い、今年度は学術論文5報(内査読付論文1報)、学会発表を5演題行った。以上の理由により、おおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度も引き続き調査を行う。調査人数を増やすため、広報やポスター掲示、ホームページのリニューアル等を積極的な周知活動を行う。 また、今年度までの約1600名のデータを整理し、計画通り解析を行い、学会発表や論文投稿を進めていく。本研究では75gOGTTについては0時間、1時間、2時間後の血糖並びにインスリンを測定していることから、従来用いられていた、HOMA指数だけでなく、他の指標についてもアウトカムとすることができる。そこで、愛媛大学の糖尿病内科との連携を図り、他の指標の疫学研究への応用を試み、睡眠呼吸障害と糖代謝との関係について多角的に検討する。
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