研究課題/領域番号 |
22390135
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
森 満 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50175634)
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研究分担者 |
斎藤 豪 札幌医科大学, 医学部, 教授 (90145566)
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キーワード | 卵巣がん / 症例対照研究 / イソフラボン / エコール / ダイゼイン / 病理組織型 |
研究概要 |
【目的】イソフラボン類の摂取量が多いほど卵巣がんのリスクが低い可能性が示唆されている。腸内細菌叢の働きによってイソフラボン類のDaizeinはEquolに代謝されるが、Equolを産生できる者(産生者)と産生できない者(非産生者)がいる。そこで、イソフラボン類の血中濃度を測定して、卵巣がんリスク低下との関連性を検討した。【方法】2010年11月以降に札幌医科大学医学部附属病院婦人科に入院した卵巣がん患者を症例群とし、2010年11月以降に同病院第2内科(循環器疾患と代謝性疾患専門)に入院した患者(がん患者を除く)を対照群とした症例対照研究を行った。Equol、Daizein、Genistein、および、Glyciteinの血中濃度を卵巣がん症例群と対照群について測定した。採血は早朝空腹時であった。Unconditional logistic regression modelによって年齢を調整して症例群と対照群の比較を行った。【結果】2011年2月末までに症例群63人と対照群96人の調査が終了した。症例群と対照群の平均年齢(±標準偏差)は56.6歳(±13.1)と58.1歳(±14.2)であり有意差はなかった。Genistein(P=0.062)、Daizein(P<0.001)、Glycitein(P=0.002)の血中濃度はいずれも症例群の方が対照群よりも低かった。しかし、Equolの血中濃度には両群間に有意な差異はなかった。Adiponectinの血中濃度は境界有意に症例群の方が対照群よりも低く(P=0/055)、また、Insulinの血中濃度は症例群の方が対照群よりも有意に高かった(P<0.001)。【結語】血中daizein濃度が高いことなどが卵巣がんリスク低下と関連している可能性が示唆された。今後は症例数を増やし、病理組織型別の解析をする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
イソフラボン類の摂取が卵巣がんのリスクを低下させるという当初の仮説と符合する結果を示すことができている。エコール産生能と卵巣がんのリスクとには関連性が見られていないが、今後の症例数の増加によっては関連性があることを示すことができる可能性がある。
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今後の研究の推進方策 |
最後の1年間も、このまま順調に卵巣がん症例群と対照群の調査が進行すると思われるので、特に問題点はないと考えられる。
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