研究課題/領域番号 |
22390136
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
廣田 良夫 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20080624)
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研究分担者 |
福島 若葉 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (70420734)
大藤 さとこ 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (70433290)
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キーワード | 新型インフルエンザ / ワクチン / ハイリスク者 |
研究概要 |
1~5才の幼児を対象として単価新型インフルエンザワクチンの有効性について、症例対照研究を実施した。解析対象は症例6例、対照55例となった。統計学的に有意なワクチン有効性を検出することはできなかった(対象者の背景特性を調整した推定ワクチン有効率は25%(95%信頼区間:479~90%))が、防御因子と考えられるもの(新型ワクチン接種)は検査確定新型感染症に対し、オッズ比は1より小であり、リスク因子と考えられもの(基礎疾患や通園など)は1より大であった。サンプルサイズが小さかったことが最も大きな限界点と考えられた。また、新たに発生した新型インフルエンザに対するワクチンについての有効性研究では、ワクチンの供給が流行の最中あるいは流行終息後となる点が大きな障害となると考えられた。 単価新型インフルエンザワクチンを健常成人31人に2回接種、筋ジストロフィー患者(平均35歳)に1回接種し、接種前後の中和抗体価を測定した。健常成人の幾何平均抗体価は接種前14、1回接種後164(上昇倍数12.0)、2回接種後167(同12.2)であり、2回目のワクチン接種による更なる抗体価上昇は認めなかった。ワクチン接種後に1:40以上の抗体価を獲得した対象者の割合は1回接種後90%、2回接種後90%であった。また4倍以上の抗体価上昇を得た者はそれぞれ84%、84%であった。筋ジストロフィー患者の幾何平均抗体価は接種前10、接種後90(上昇倍数9.5)であった。73%の対象者がワクチン接種後に1:40以上の抗体価を獲得し、85%の対象者で4倍以上の抗体価上昇を認めた。いずれの集団においても単価新型ワクチンの1回接種によって新型ウイルス感染に対する防御能が獲得されること示唆された。また、ワクチン接種による重篤な有害事象の発現を認めなかった。さらに現在、高齢者、妊婦、中高生を対象に抗体価測定を実施中である。
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