まず、観察対象集団の確定を行った。これまでに、第8回~第12回川崎病全国調査に52病院から報告され、次の条件を満たす患者全員を追跡対象として、2004年末日まで追跡を行った。(1)川崎病診断の手引きで確実例(容疑例を除外)、(2)初発例(再発例を除外)、(3)第14病日までに初診の患者(第15病日以降の初診患者を除外)、(4)日本国籍を有するもの(外国籍のものを除外) (1)と(2)は特定の要件を満たす少数の患者を排除することにより結果の解釈を容易にするため、(3)は第15病日以降の初診患者は心後遺症などのために高度の医療を提供できる医療機関に紹介された患者が多いと推測されるため、(4)は戸籍による追跡が不可能なために設定した要件である。 これらの要件を満たす6576人の川崎病既往者のうち、2004年末日までに36例の死亡が確認され、26人が追跡不能となっている。これらを除外した6514名の2009年末日現在の生死の状況を確認し、死亡が確認された場合には死亡診断書の写しを入手することにより、死因を特定することを目標に研究を開始した。 自治医科大学疫学倫理審査委員会の承認(2010年6月28日疫10-16号)を得た。法務省に戸籍調査の申請を行い、戸籍調査に関する承認を得た(2010年8月10日付法務省民-第1967号)。戸籍に関する情報がない5名を除く6509人のうち、年度末までに2010年1月1日以降の生存(戸籍記載)が確認された者が6345人、死亡が確認された者が10人、未確認が164人である。 次年度は生死未確認の164人の戸籍による確認を引き続き行うと共に、人口動態統計との比較を行うことにより、観察集団の死亡率が一般集団と比較して上昇しているか否かの検証を行う予定である。
|