研究課題
本研究では組織損傷から再生に向かうメカニズムを解明し、成人から老人に多く発症する組織の破壊から再生不能になる病態を明らかにすることとそれの治療のためのiPS細胞、自己幹細胞による再生治療をめざしている。ミエロイド系自然免疫系細胞は病原体、あるいは傷害物質、あるは破壊された組織からの分子を認識し、病原体や破壊組織を貪食処理すると同時に組織を傷害する。炎症が終焉すると、傷害された組織は組織幹細胞の増殖によって修復される。炎症終焉から組織再生へ向かう場合と、持続炎症から組織荒廃への分かれ道のメカニズムの研究は重要である。初年度はDSSによる潰瘍性大腸炎モデルの損傷治癒メカニズムに新たな発見があった。すなわち、治癒期の脾臓にミエロイド系細胞が増加した。この細胞は組織修復に関与することを1)脾臓摘出で病態回復がおくれること、2)抗体投与でこの細胞を減らすと、組織修復が遅れること、3)この細胞を、セルソーターで分離し、DSS腸炎早期に移植すると、大腸炎が早期に回復することで証明した。免疫系細胞に組織損傷治癒に働く作用があることを意味する。創傷治癒の実験では活性酸素が創傷部位に産生されつづけると、創傷治癒が遅延することを見いだした。このとき誘導される細胞、分子を検索中である。同時に再生治療を目指して老化マウスからiPS細胞を誘導することに成功し、このiPS細胞が胎児繊維芽細胞から樹立したiPS細胞と同様な分化能を示すかあるいは早期老化を示すかをキメラマウス、あるいはin vitro分化系で検討中である。
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