研究概要 |
平成22年度は、主に健常人の心理的ストレス特異的RNAマーカーの同定を中心に研究を進めた。モデルとして、医学科4年次の全国共通進級試験(CBT試験)受験者を対象にして、試験7週間前、試験前日、1日の試験終了直後、及び、試験終了1週間後のタイムポイントで採血し、質問紙(STAI,SDS)による不安とうつ状態の評価、唾液のコルチゾルを測定、マイクロRNAアレイを使いた血液中のマイクロRNAの網羅的解析、及び、エクソンチップを用いた選択的スプライシングバリアントの検出を行った。得られた成果として、1)急性心理的ストレス特異的なSMG1の選択的スプライシングを同定し誌上発表した(Neurosci Lett, 2010)。2)急性心理的ストレス特異的な血液中のマイクロRNAとしてmir144* mir144, mir16を初めて同定した(論文投稿準備中)。さらに、岐阜県の民間病院職員129名のストレス検診を行い、22名の末梢血のうつ病患者様遺伝子発現パターンを同定した。 うつ病患者に見られる遺伝子発現パターンと血清の免疫調節メデイエーターとの関連についても検討した。まず、健常者の不安とうつ状態を反映する因子として、VEGFを初めて同定した(Int J psychophysiolリバイス中)。また、上記と同じCBT試験モデルを用いて、血清中のサイトカイン50種類をBioPlex (BioRad社)で測定し、急性心理的ストレス応答性の8種類のサイトカインを同定した(論文投稿中)。平成23年度のうつ病患者の解析を行うための健常者の基礎データの収集はほぼ完了し、患者解析を進めている。
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