研究課題/領域番号 |
22390146
|
研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
六反 一仁 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (10230898)
|
研究分担者 |
桑野 由紀 徳島大学, 助教 (00563454)
|
キーワード | ストレス / うつ病 / 遺伝子発現 / RNAマーカー / マイクロRNA |
研究概要 |
平成23年度の具体的な研究成果を以下にまとめる。 1)健常大学生209名の血清中サイトカイン50種類のプロファイリングを行い、健常者の不安とうつ状態を反映する因子として、VEGFを初めて同定した(Int J Psychophysiol 2011)。2)健常大学生の慢性心理的ストレス時(医師国家試験受験)におけるグルココルチコイドレセプター(GR)の選択的スプライシングバリアントを解析し、慢性ストレス時では、デコイレセプターの考えられているGR-βアイソフォームが増加することを明らかにした(Stress 2011)。医学科4年次の全国共通進級試験(CBT試験)受験者を対象に、試験7週間前、試験前日、1日の試験終了直後、及び、試験終了1週間後のタイムポイントで採血し、質問紙(STAI,SDS)による不安とうつ状態の評価、唾液のコルチゾルの測定を行った。このモデルを用いて、3)血清中の50種類のプロファイリングから、急性心理的ストレスに応答する血清メデイエーターとして、炎症性サイトカイン(G-CSF、IFN-γ,、IL-1β、及び、TNF-α)、Th2サイトカイン(IL-4、IL-5、及び、IL-13)、及びβ-NGFを同定した(Psychophysiology 2012)、さらに、4)急性心理的ストレス特異的な血液中のマイクロRNAとしてmir144*mir144,mir16を初めて同定した(Neurosci Lett 2012)。 岐阜県の民間病院職員129名のストレス検診を行い、22名の末梢血のうつ病患者様遺伝子発現パターンを同定した。さらに、自閉症者と自閉症児をもつ母親の末梢血の遺伝子発現解析を行った。血縁関係は無いにも関わらず、共通して発現が変化する遺伝子の同定にも成功した(PLoS One 2011)。 このように平成23年度は予想以上の成果を上げることが出来た。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成23年度の研究成果として9編の英語論文を発表した。この中には、自閉症者の解析や基礎的なマイクロRNAの研究と選択的スプライシングバリアントの研究も含まれており、当初の計画を超えた研究成果を挙げることができた
|
今後の研究の推進方策 |
研究自体は予定通り順調に遂行できており、平成24年度は最終年度に当たるため、ヒトの研究成果として慢性疲労症候群の成果発表を行う。基礎的なRNAバイオロジー研究では、選択的スプライシング調節因子であるSRSF3及びTransformer 2-betaの研究成果について、最低3編の英文原著論文の発表を行う。
|