研究課題/領域番号 |
22390147
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京有明医療大学 |
研究代表者 |
高倉 伸有 東京有明医療大学, 保健医療学部, 教授 (60563400)
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研究分担者 |
矢嶌 裕義 東京有明医療大学, 保健医療学部, 助教 (00563412)
高山 美歩 東京有明医療大学, 保健医療学部, 助手 (20563414)
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キーワード | 鍼 / プラセボ / ダブルブラインド / RCT / 肩こり |
研究概要 |
鍼は補完代替医療のうち最も広く知られている治療法のひとつである。鍼治療の効果の科学的根拠を示す多数の臨床研究結果が、近年、一流の欧米医学雑誌で取り上げられている。しかし、それらの結果は患者のみをマスクするシングルブラインド法の臨床研究によってしか示されることはなかった。なぜなら、鍼師と患者の両方に、鍼治療の真偽(鍼が皮膚に刺入されるか否か)がわからない状態で実施されるダブルブラインド法は、鍼師が鍼を刺入する際に生じる感覚をマスクできないと考えられてきたからである。そのため「鍼の効果はプラセボ効果である」という疑問を拭いきれない。この問題を解決するため、私たちは鍼師と患者をマスクできるダブルブラインド鍼を世界で初めて開発し、本研究の成果を発表するにあたりその基礎となる、ダブルブラインド鍼の有効性を示す研究成果を専門誌および学会で発表した。本研究ではダブルブラインド鍼を製作してEOG滅菌を施し、この鍼を用いて現代医学において最も厳格な臨床試験のデザインのひとつとされる、ダブルブラインド下におけるランダム化プラセボ対照比較試験を行っている。対象は鍼治療の適応症として最もポピュラーな肩こり患者とし、試験参加時に患者を刺入鍼群、接触鍼群、非接触鍼群、対照群の4群にランダムに割り付け、治療前後と治療終了24時間後の肩こりの強さを記録してもらった。現時点で予定患者数400名のうち213名の試験を終了している。この研究は倫理審査委員会の承認を得た研究計画に基づき、臨床試験のレジストレーションを予め行った。このダブルブラインド法に基づく臨床試験によって、鍼師の挙動や熱意、患者の思い込みや期待などが鍼治療の効果に影響を与える可能性を排除することに成功すれば、鍼が皮膚に刺入されることによる特異的効果はあるのか、あるいはプラセボ効果にすぎないのかという未解決の問題にひとつの示唆を与えることができる。
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