研究課題
鍼は補完代替医療のうち最も広く知られている治療法のひとつであり、欧米医学雑誌でも、鍼治療の効果の科学的根拠を示す多数の臨床研究結果が取り上げられている。しかし、鍼師が鍼を刺入する際に生じる感覚はマスクできないと考えられてきたため、これまで鍼治療の効果は、患者のみをマスクするシングルブラインド法の臨床研究によって示されており、「鍼の効果はプラセボ効果である」という疑問を拭いきれなかった。この問題は、本研究で実施される、私たちが開発した鍼師と患者をマスクできるダブルブラインド鍼を用いた介入実験によって解決される。今年度も本研究の成果を得るにあたり、その基礎となるダブルブラインド鍼の有効性を示す研究成果を学会で発表した。更に「第6回鍼とEBMに関する日韓ワークショップ」に招待され、ダブルブラインド鍼に関する招待講演を行った。本研究は、肩こりを抱える被験者に対して、異なる3種類のダブルブラインド鍼治療または鍼治療なしの4グループの鍼治療の効果と、ダブルブラインド鍼のブラインド効果について評価する、ランダム化プラセボ対照比較試験(RCT)およびクロスオーバーランダム化比較試験による肩部の筋血流測定実験(レーザー組織酸素モニターによる鍼治療前中後の血流動態の評価)を行うものである。平成26年度は、肩こりに対するRCTでは400名分のデータ解析を実施し、結果に基づくディスカッションを行い、論文作成を進めた。また肩こりに対する鍼の効果に関する血流測定実験では、各介入グループのべ80回(20名)のデータ解析を実施、結果に基づくディスカッションを行い、論文作成を開始した。今後は、RCTおよび血流測定実験の結果をまとめた論文を、海外の医学雑誌に投稿する予定である。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Medicines
巻: 2 ページ: 11-27
10.3390/medicines2010011
PLoS One
巻: 10(3) ページ: e0119612
10.1371/journal.pone.0119612