研究分担者 |
蘆田 知史 旭川医科大学, 医学部, 客員教授 (50261409)
藤谷 幹浩 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (80322915)
大竹 孝明 旭川医科大学, 医学部, 講師 (10359490)
前本 篤男 旭川医科大学, 医学部, 客員准教授 (40400113)
上野 伸展 旭川医科大学, 医学部, 助教 (30436000)
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研究概要 |
(1)バイオフィルム内に生息する粘膜関連微生物の認識機構 前年度に,laser capture micro dissectionを用いて,マウス腸管のバイオフィルム内から粘膜関連細菌のDNAを抽出した.これを16S rRNA based variable sequence tags法にて定量的に解析し,バイオフィルム内の細菌叢解析の手技が確立した.また,ヒト腸管を用いた検討を行う前提として,本学の倫理委員会に申請を行った.本年度は,健常人および炎症性腸疾患から計4サンプルを採取し、前年度に確立した解析技術を用いて、腸管バイオフィルム内細菌の解析を行った。また同様の技術を用いて、マウス腸炎モデルにおける粘膜関連細菌叢の解析を行った。 (2)抗菌物質の産生・分泌機構における細胞膜トランスポーターの役割 前年度は、我々が確立したアッセイ系により単離した健常人および炎症性腸疾患患者において,腸管上皮細胞におけるdefensin発現量とOCTNs,OCTs,OATs,MDRsなどの細胞膜トランスポーターの発現を測定し、炎症性腸疾患患者では,human defensin 5の発現が低下している傾向を認めたが,OCTNsやMDRsの発現については健常人と同等であったことを確認した.今年度は、細胞恒常性維持に必須の蛋白であるオートファジーの発現について、健常人および炎症性腸疾患患者からのサンプルを用いて検討し、炎症性腸疾患の病型における発現量の違いを認めた。 (3)腸管および微生物由来活性物質の抗炎症・腸管保護作用 新規乳酸菌SB88由来活性物質の成分解析を行い、この物質がポリリン酸であることを明らかにした。ポリリン酸はマウス腸炎モデルにおける腸管の組織学的炎症を改善し,マウスの生存率を向上させることが分かった.今後は,このポリリン酸の腸管保護作用メカニズムについて検討していく予定である.
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今後の研究の推進方策 |
(1)バイオフィルム内に生息する粘膜関連微生物の認識機構 バイオフィルム内の細菌叢解析の技術を確立し,健常人および炎症性腸疾患の腸管組織4サンプルについて、腸管バイオフィルム内細菌の解析を行った。また同様の技術を用いて、マウス腸炎モデルにおける粘膜関連細菌叢の解析を行った。今後、さらに検討症例を増やし、炎症性腸疾患におけるバイオフィルム内細菌叢の特徴を明らかにしていく。 (2)抗菌物質の産生・分泌機構における細胞膜トランスポーターの役割 腸管上皮細胞におけるdefensin発現量、OCTNs,OCTs,OATs,MDRsなどの細胞膜トランスポーターの発現量、オートファジーの発現量を測定し、炎症性腸疾患患者の腸管上皮において,human defensin 5やオートファジーの発現が低下していること、OCTNsやMDRsの発現は変化がないことをつきとめた。今後、さらに検討症例を増やし、炎症性腸疾患におけるバイオフィルム内細菌叢の特徴を明らかにしていく。 (3)腸管および微生物由来活性物質の抗炎症・腸管保護作用 新規乳酸菌SB88由来活性物質であるポリリン酸の同定に成功し、その腸管保護作用を明らかにした。今後は,このポリリン酸の作用メカニズムについて検討していく。
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