研究課題/領域番号 |
22390150
|
研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
寺井 崇二 山口大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (00332809)
|
研究分担者 |
坂井田 功 山口大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80263763)
内田 耕一 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (80397992)
山本 直樹 山口大学, 大学教育機構, 講師 (90448283)
高見 太郎 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (60511251)
石川 剛 山口大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (20569305)
|
キーワード | 再生医療 / 肝再生 / 骨髄細胞 / Maid |
研究概要 |
骨髄由来培養Liver Repair cell投与実験 昨年度に引き続き、四塩化炭素腹腔内反復投与により作成したマウス免疫不全肝硬変モデル(SCID-CCl4モデル)に、Lonzaヒト骨髄単核球細胞をウシ血清含有培地で培養した「ヒト骨髄由来細胞(CD73/CD90/CD105陽性かつCD45/CD11b陰性細胞)」を4.5x105個/匹で尾静脈投与し、その後の肝線維化の改善をシリウスレッド染色により評価した。その結果、細胞投与4週後において肝線維化は有意に抑制され、血清アルブミン値も投与後4週において有意に上昇し、肝線維溶解部に一致してMMp-9陽性細胞と間葉系マーカーであるVimentin陽性細胞の増加を確認した。以上より、ヒト骨髄由来間葉系細胞が「ヒト骨髄LR細胞」であることが強く示唆された。これらのデータは現在論文投稿中である。 共培養による線維化改善効果の解析 さらに線維化との関係を解析するために、肝星細胞LI90を用いた解析を行った。LI90細胞は不死化していないため、まずtertを発現するレトロウィルスを感染させ不死化細胞を作製を試みた。LI90不死化細胞は不死化しても活性化星細胞の性質を保持していた。不死化H90細胞を用いてhMSCとの共培養を行い、コラーゲン(collal)、サイクリンD1、αSMA、HGFなどの遺伝子発現を検討した。上層に1000から5万個のhMSCを播種し、下層にLI90細胞を播種し2日目および5日自の発現を調べたが、有意な変化は認められなかった。上層と下層に分けた培養ではなく、直接接触させた培養法の検討やhMSC以外の細胞例えばマクロファージなどを用いた共培養の検討が必要であることが今後の検討課題と考えられる。 TNF-R1 KOマウス、Maid KOマウスによる肝線維化モデルへの骨髄細胞投与による肝機能・線維化改善の検討 TNF-R1 KOマウス、Maid KOマウスをレシピエントにした場合で評価した。CCl4を従来の方法と同じように4週間TNF-R1 KO、Maid KOマウスに投与し、これらにGFP陽性骨髄細胞を投与する。その後1,2,3,4週目に肝臓組織を摘出し、GFP抗体による免疫染色・蛍光二重染色で骨髄細胞の定着率を評価した。Azan染色、Sirius-red染色で肝線維化の改善が確認できた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
骨髄由来培養Liver Repair cellと肝臓構成細胞との相互作用の検討(in vitro実験)は実験が進んでおり、効果の有無が判明しつつある。また骨髄由来培養Hver Repair cell投与実験では線維化の改善、血清アルブミンの改善が認められ、論文投稿中である。しかしHydrodynamic Tail Vein injection(HTVi)法を用いた遺伝子導入法併用Liver Repair cell投与による、肝修復相乗効果の検討および肝臓への長期的影響(DNA不安定性)の検討はあまりできていないが、おおむね順調に進展していると考える。
|
今後の研究の推進方策 |
Liver Repair cellの同定のため、さらに共培養での解析を継続する。これまではhMSCを用いていたが、マクロファージを用いたり培養方法の検討などを行う。また可能であれば、より人間に近いラットモデルを用いてLiver Repair cellの解析を行ってゆく。Maid KOマウスを使用することで、Wildマウスによる肝線維化モデルに骨髄細胞投与した場合と比較して、どのような違いがあるかの解析を行う。
|