研究課題
特発性心筋症の病因と病態形成機構の解明を目的とした。既知の原因遺伝子に変異が見出されない心筋症患者集団を対象として、ミオパラジン遺伝子の変異検索を実施したところ、拘束型心筋症、肥大型心筋症、拡張型心筋症のそれぞれで変異を同定した。特記すべきことは、肥大型心筋症様病理所見あるいは拡張型心筋症様病理所見を呈する拘束型心筋症患者にQ529X変異が見出されたこと、および同一変異(Y20C)が肥大型心筋症と拡張型心筋症に見出されたことである。Q529X変異を導入したラット心筋細胞ではサルコメア整合性が障害され、細胞死がもたらされた。一方、Y20C変異のトランスジェニックマウスを作製したところ、このマウスは肥大型心筋症様の病態を呈し、心筋では介在板の断裂とデスミン、デスモプラキン、ビンキュリン等の介在板関連分子の発現異常が観察された。また、Y20C変異ミオパラジンはCARPとの結合性が減弱し、核内移行が障害されていた。さらに、肥大型心筋症関連変異(K153R、A217E)はCARP結合性の亢進を認めた。これとは別に、肥大型心筋症に見出された3種類のCARP変異は、いずれも核内移行が亢進しているが、それぞれが心筋収縮機能にどのような効果をもたらすかをラット心筋細胞による組織再構築系(EHT)で検討したところ、T123M変異は心筋収縮力を亢進し、I280V変異は心筋拡張時間を延長するのに対し、P52A変異は細胞内分解が亢進する等、それぞれが異なる機能異常を示した。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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