研究課題/領域番号 |
22390158
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
久木山 清貴 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (00225129)
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研究分担者 |
川端 健一 山梨大学, 医学部附属病院, 講師 (30345706)
尾畑 純栄 山梨大学, 医学部附属病院, 講師 (60362076)
齊藤 幸生 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 助教 (50377511)
渡辺 一広 山梨大学, 医学部附属病院, 医員 (50535549)
渡辺 陽介 山梨大学, 医学部附属病院, 医員 (90535551)
三品 秀人 山梨大学, 医学部附属病院, 医員 (70568021)
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キーワード | 心筋梗塞 / ノックアウトマウス / ホスホリパーゼA2 / 受容体 |
研究概要 |
アラキドン酸カスケードによって産生される脂質の多くは動脈硬化、血栓、炎症の惹起因子・増悪因子であり多くの心血管病の発症・病態に深く関与している。Phospholipase A_2(PLA_2)はアラキドン酸カスケードの最上流に位置する酵素である。本研究では、PLA_2の心血管病への関与を網羅的に解明し、PLA_2を標的とする有用な心血管病予防・治療薬を開発することが本研究の目的である。平成23年度は以下のことを明らかにし既に学会・専門雑誌に報告した。 secretory PLA_2受容体ノックアウトマウスに心筋梗塞を作成し、その程度を野生型マウスと比較検討した。その結果、secretory PLA_2受容体ノックアウトマウスでは心筋梗塞の範囲が有意に低下し、心臓超音波検査上も心機能の低下が抑制されていた。secretory PLA_2受容体ノックアウトマウスでは心重量、肺重量の増加がより抑制を受けており心不全の程度も軽かった。一方、心破裂の頻度はsecretory PLA_2受容体ノックアウトマウスでむしろ頻度的に多かった。secretory PLA_2受容体は心線維芽細胞に強く発現し、梗塞後の残存心筋にも強発現した。野生型に比べてsecretory PLA_2受容体ノックアウトマウス心筋においては、fibrogenic moleculesの発現が有意に低下していた。secretory PLA_2 type IB又はXをリガンドとして細胞内シグナルを調べた。その結果、secretory PLA_2受容体ノックアウトマウス心線維芽細胞においてはAkt,MAPKなどのkinase活性化が抑制されていることが明らかにされた。これらのことから、secretory PLA_2受容体は心筋梗塞の病態に深く関わり、その作用機序に修復に関わる線維形成に働いていることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りに実験結果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、当初の実験計画の予定通り、受容体のアンタゴニストを見出し、その効果を犬を用いた実験モデルにて調べる。
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