研究課題/領域番号 |
22390159
|
研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
佐田 政隆 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (80345214)
|
研究分担者 |
添木 武 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 講師 (60393211)
平田 恭信 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (70167609)
|
キーワード | 循環器・高血圧 / 動脈硬化 / 急性冠症候群 / プラーク破裂 / 血管新生 |
研究概要 |
急性冠症候群の多くは,軽度内腔を狭窄する動脈硬化プラークの破裂やびらんを基礎とした血栓性閉塞を原因とする。この動脈硬化プラーク脆弱化の分子機構を明らかにするために、臨床材料ならびに動物モデルを用いて検討した。 (1)動脈硬化の進展における心臓周囲脂肪組織の役割について、臨床材料を用いて検討した。心臓手術中に36名の冠動脈疾患患者ならびに46名の非冠動肺疾患患者(主として心臓弁膜症)患者から、心臓周囲脂肪組織ならびに皮下脂肪を採取した。冠動脈疾患患者では、非冠動脈疾患に比較して、心臓周囲脂肪組織における浸潤マクロファージ数が増加しており、その極性が相対的にM1側へシフトしていた。また、このような変化は、MCP-1,TNFα、IL-1βなどの炎症性サイトカイン、TLRなどの病原体センサーの発現の亢進を伴っていた。興味深いことには、皮下脂肪に関しては、冠動脈疾患患者と非冠動脈疾患患者で違いは認められなかった。また、冠動脈疾患患者においても、内胸動脈周囲脂肪組織では、皮下脂肪と同様に炎症性の変化亢進してしなかった。心臓周囲脂肪組織における慢性炎症が、冠動脈疾患の病態に関与していること、周囲脂肪組織の性状によって内胸動脈が動脈硬化性ストレスから保護されていることが示唆された。 (2)冠動脈疾患患者の冠状静脈洞採血において、HMGB1の濃度が亢進していた。その病態生理学的意義を明らかにするため、遺伝子欠損マウスと骨髄移植を用いた実験を行った。血管傷害後血中のHMGB1濃度が亢進することと、HMGB1-DNA複合体がマクロファージのTLR9を介して病的炎症を惹起することから、HMGB1-DNA複合体が動脈硬化の病態に関与することが明らかとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定どおりの研究が進行し、成果が得られ、論文として発表して高い評価を得ている。
|
今後の研究の推進方策 |
進行した動脈硬化病変モデルにおいて,不安定プラークに認められる遺伝子発現とその制御因子を探求する。 モデル動物を用いて得られた知見が、実際に動脈硬化患者で生じているかどうかを臨床材料を用いて検討する。その解析のために、研究体制は確立しており、倫理委員会の承認なども得ている。
|