研究課題
心筋梗塞(MI)感受性分BRAPに結合するタンパクを同定し、さらにそのタンパクをコードする遺伝子領域のゲノム疫学的解析からMI感受性を示す遺伝子の同定を進めてきた。これまでにBRAPと結合することを新規に同定したタンパク(仮称;BRAPBP)をコードする遺伝子領域の一塩基多型(SNP)を用いた関連解析により統計学的に有意差を示すマーカーSNPを同定していた。本年度の研究においてはそのBRAPBP遺伝子を含む連鎖不平衡(LD)領域の詳細なSNP遺伝的地図(LDマッピング)の作成を行い、原因SNPの同定を進めてきた。約200kbにわたるBRAPBP遺伝子を含むLD領域をダイレクトシークエンス法により数十人のMI患者由来DNAを再シークエンスしSNPの同定を行った。ここで同定したSNPの中でマイナーアレル頻度が0.05(5%)以上のSNPについてLD解析により代表SNPを選抜し、MI、一般集団由来DNAについてタイピング行い、さらに関連解析を試行した。その結果、マーカーSNPよりもMIと強い関連を示すSNPは存在せず、マーカーSNPと同じ挙動を示す(完全なLDにある)SNPは他に16個存在しており、合計17個のSNPの中のいずれかあるいはいくつかがMI感受性の原因になることを突き止めた。これら17個はすべてアミノ酸変化を伴わないSNPであり、現在これらのSNPのBRAPBP遺伝子の転写や分解に与える影響を解析中である。このBRAPBPもまたIKK-signalosomeに関連した分子であることが知られており、炎症がMI発症に強く関わることをさらに裏付ける結果となった。また、これまでに同定したMI感受性SNPを組み合わせることによりそのオッズ比は30を超えることから、これらのSNPによるMIの予知、予防を目的とした遺伝子検査が可能になると考えられる。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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