研究課題
プロアンジオテンシン-12(proang-12)は、アンジオテンシンI(AngI)のN末に2個のアミノ酸が付加されたペプチドである。組織中のproang-12濃度が比較的高値であることから、proang-12が組織RA系の因子であることが想定されている。研究1:proang-12の病態生理学的意義の解明を目的として、15週齢の高血圧自然発症ラット(SHR)およびウイスターキョウトラット(WKY)にACE阻害薬およびアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)を投与して、血中と組織中proang-12、AngI、AngII濃度を測定した。ACE阻害薬およびARB投与により、SHRおよびWKYの血中AngIは顕著に増加したが、血中proang-12濃度には明確な変化はなかった。一方、心室と腎臓の組織中AngIIとproang-12の濃度は、SHRおよびWKYともに低下または低下傾向を示した。すなわち、組織中のproang-12濃度は、血中RA系は異なる機序により調節されている可能性を示唆しており、proang-12が組織RA系のペプチドであるという研究代表者らの仮説を支持する結果が得られた。研究2:ラット静脈内に単回投与されたproang-12は、昇圧作用を発揮するが、その作用はACE阻害薬およびARBの前投与により抑制され、ACEの作用によりproang-12がAngIIに変換されて昇圧作用を発揮すると想定される。一方、proang-12のAngIIへの変換へは、ACEではなくキマーゼが関与するとの報告もある。そこで、本研究では、無麻酔無拘束のラットにproang-12を持続的に14日間持続投与した。proang-12の持続投与により、血圧が除々に上昇して、その上昇はACE阻害薬およびARBの投与により抑制され、静脈内単回投与と合致する結果が得られた。
2: おおむね順調に進展している
(1)ヒトproang-12類似(関連)ペプチドに関して構造決定に至っていない。(2)ラットproang-12が組織RA系因子として、血中RA系とは独立して機能している可能性を、食塩制限によるRA系活性化モデルおよびRA系阻害薬投与により明確にした。(3)ラットproang-12がACEの作用によりAngIIとなり作用することを、proang-12長期投与実験により明確にした。
(1)ヒトproang-12類似(関連)ペプチドが存在する可能性を明確にして分子構造を決定する。(2)proang-12を介するRA系ペプチド産生経路を明確にする。(3)ラット心血管疾患モデルを用いてproang-12の病態生理学的意義を明確にする。
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