研究課題/領域番号 |
22390170
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
加藤 丈司 宮崎大学, フロンティア科学実験総合センター, 教授 (20274780)
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研究分担者 |
桑迫 健二 宮崎大学, フロンティア科学実験総合センター, 准教授 (20381098)
北村 和雄 宮崎大学, 医学部, 教授 (50204912)
永田 さやか 宮崎大学, 医学部, 助教 (00452920)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | レニン・アンジオテンシン(RA)系 / 組織RA系 / プロアンジオテンシン-12 / アンジオテンシンI / アンジオテンシンII / ACE阻害薬 / アンジオテンシンII受容体拮抗薬 |
研究概要 |
プロアンジオテンシン-12(proang-12)は、アンジオテンシンI(Ang I)のN末に2個のアミノ酸が付加されたペプチドである。研究1:proang-12を静脈内に単回投与すると、proang-12がAng IIに変換されて昇圧作用を発揮すると想定される。本研究では、無麻酔無拘束のラットにproang-12を持続的に14日間持続投与した。proang-12の持続投与により、血圧が除々に上昇して、その上昇はACE阻害薬およびARBの投与により抑制された。すなわち、長期間持続投与したproang-12も、ACEの作用によりAng IIに変換されて作用を発揮することが示唆された。一方、proang-12の長期間持続投与により心拍数は低下傾向になり、Ang IIの持続投与では増加傾向を示した。両者で解離した結果が得られ、proang-12による心拍数低下は、テレメトリーシステムでも確認され、Ang IIとは異なる作用機序が存在する可能性も示唆された。研究2:組織におけるproang-12の病態生理学的役割の解明を目的として、組織レニン発現が増加している高血圧モデルであるmRen2.Lewisラットに、ARBバルサルタンおよびレニン阻害薬アリスキレンを投与して、腎臓におけるproang-12の濃度を測定した。無治療群に比較して、ARBとレニン阻害薬の併用投与により、腎臓proang-12の濃度が有意に上昇していた。また、併用投与により蛋白尿は減少したが、腎臓の糸球体および尿細管周囲の線維化が悪化していた。すなわち、本高血圧モデルラットにおけるARBとレニン阻害薬の併用投与による腎障害に、腎臓におけるproang-12の濃度の上昇が関与している可能性が想定された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)ヒトproang-12類似(関連)ペプチドに関して構造決定に至っていない。(2)ラットproang-12が組織RA系因子として、血中RA系とは独立して機能していることを明確にした。(3)ラットproang-12がACEの作用によりAng IIとなり作用することを、proang-12長期投与実験により明確にした。(4)腎臓組織におけるproang-12の濃度が高血圧モデルラットの腎障害と相関していることを示し、組織proang-12が腎障害に関与している可能性を示した。
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今後の研究の推進方策 |
(1)ヒトproang-12類似(関連)ペプチドが存在する可能性を明確にして分子構造を決定する。(2)proang-12を介するRA系ペプチド産生経路とプロセッシングに関与する因子の存在を確認ンする。(3)ラット心血管疾患モデルを用いてproang-12の病態生理学的意義を明確にする。
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