研究課題/領域番号 |
22390171
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
市原 淳弘 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (60203105)
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キーワード | 細胞・組織 / 循環器・高血圧 / 生体分子 / 糖尿病 / 老化 |
研究概要 |
我々が開発した腎糸球体上皮細胞特異的(プロ)レニン受容体欠損(Pod(P)RRcKO)マウスでは、糸球体上皮細胞の老化によって著明な蛋白尿が発症し寿命が短縮する。(プロ)レニン受容体から可溶性部分が外れるとATP6AP2というV-ATPaseに結合する蛋白の前駆体となる。V-ATPaseは細胞内小器官のpH管理と細胞内小器官同志あるいは細胞膜との癒合に必須の蛋白であるが、ATP6AP2がV-ATPaseに与える影響はこれまで全く検討されていない。本計画では、慢性腎臓病病態として糸球体上皮細胞の加齢に焦点を当て、ATP6AP2としての(プロ)レニン受容体の新たな第3の機能を解明することを研究目的とする。平成23年度において、(1)平成22年度に死滅したFloxed(pro)renin receptor mouseの胎児より分離培養した初代培養線維芽細胞を再度培養し、Cre発現アデノウイルス感染による(プロ)レニン受容体ノックアウトがFITC標識beads法によるpH測定に及ぼす影響を検討し、ライソトラッカー法で示された細胞小器官内酸性環境を確認した。(2)Pod(P)RRcKOマウスに(プロ)レニン受容体断片遺伝子を導入しレスキューを試みる実験のために、前述の初代線維芽細胞への、レンチウイルス感染による(プロ)レニン受容体遺伝子断片の導入実験を行った。全長型(プロ)レニン受容体遺伝子およびATP6AP2遺伝子の導入に成功し、現在in vitroにおける表現型を検証している。この結果により同遺伝子をPod(P)RRcKOマウスに高発現させ、レスキューできるかどうかを検討予定である。(3)また、JJ-RRc-CreCとFloxed(pro)renin receptor mouseを交配させ、8週齢マウスにドキシサイクリンを投与することにより蛋白尿が増加することを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成22年度において培養細胞が死滅するアクシデントが発生したため、研究全体の進捗がやや遅れる結果となっている。またin vitroにおける遺伝子導入において、当初アデノウイルスを用いたが、導入効率が悪く、途中でレンチウイルスに変えたことも研究全体の進捗を遅くさせたと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
In vitroにおける遺伝子導入実験が現在順調に成果を出しているため、次年度内にはin vivoにおける遺伝子高発現動物の作成を開始できる見込みである。また時間依存性(プロ)レニン受容体欠損マウスも今年度内に作成できたため、次年度内には表現型の解析が可能である。したがって、現時点で研究計画の変更はなく、研究を遂行する上での問題点も見当たらない。
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