平成24年度においては、 ①Pod(P)RRcKOマウスにおける致死性ネフローゼからのレスキュー実験:遺伝子治療の検討 ②Doxycyclin誘導性糸球体上皮細胞特異的(プロ)レニン受容体欠損マウスの作成 を計画し、以下の結果を得た。 ①(プロ)レニン受容体遺伝子の全長と部分断片を発現するプラスミドを、出征後14日目までのPod(P)RRcKOマウスの腎臓に体外より直接注入することを試みたが、マウスの蛋白尿に変化は起きず、体外よりの遺伝子断片の注入の効率が低いことが原因であった。この結果を踏まえて、今後は、(プロ)レニン受容体遺伝子の全長と部分断片を発現するプラスミドをマウス胚に注入し、全身的に高発現するマウスを作成するか、(プロ)レニン受容体遺伝子の全長と部分断片を腎臓細胞特異的にノックインするマウスを作成する必要があると考察した。 ②Doxycyclin誘導性糸球体上皮細胞特異的(プロ)レニン受容体欠損マウスの作成に成功し、4-6週齢のマウスでDoxycyclin負荷により蛋白尿が誘導され、腎組織変化が起きる前にDoxycyclin負荷を中止することにより蛋白尿は消失するが、腎組織変化が起きた後にDoxycyclin負荷を中止しても蛋白尿は消失しないことを確認した。今後は、(プロ)レニン受容体が高発現する糖尿病モデルにおける検討のため、より高齢のマウスでDoxycyclin負荷が及ぼす影響と、高齢マウスにストレプトゾトシンを用いて1型糖尿病を発症させ腎症を発症させた後で、Doxycyclin負荷が及ぼす影響を検討する必要があると考察した。
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