研究課題/領域番号 |
22390174
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
小野寺 理 新潟大学, 脳研究所, 教授 (20303167)
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研究分担者 |
佐藤 俊哉 新潟大学, 脳研究所, 助教 (90359703)
野崎 洋明 新潟大学, 医歯学系, 助教 (20547567)
豊島 靖子 新潟大学, 脳研究所, 准教授 (20334675)
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キーワード | CARASIL / 血液脳関門 / 脳小血管 / HTRA1 / 平滑筋細胞 / 周皮細胞 / 血管性認知症 |
研究概要 |
脳は血液脳関門という特徴的な機構を持つ。血液脳関門は、脳への薬物輸送の面から注目されてきた領域である。しかし、その研究の 難しさから、今まで、疾病との関連については十分に把握されていなかった。血液脳関門の破綻は主に脳の白質の障害を起こす。血液 脳関門機能は、脳の小血管が担うが、私たちは、人で遺伝性に、脳の小血管を侵す遺伝性疾病CARASILの病態機序を明らかにし、炎症 性サイトカインであるTGF-βファミリーシグナルの亢進がその背景にあることを示した。本研究ではCARASILの病態をモデルとして、T GF-βファミリーシグナルの脳小血管、血液脳関門機能への役割を解明し、血液脳関門機能と神経疾患との関連を明らかにすることで ある。CARASILは脳の小血管の平滑筋細胞層の消失と内膜の肥厚を伴い、病理像は、孤発性脳小血管病と類似し、共通の病態機序があ ることが推察されていた。我々は、本研究において、遺伝性の脳血管障害の原因遺伝子として我々が単離したらHtrA1の欠損マウスを 用い、本マウスにおいてサイトカインであるTGF-βシグナルの亢進の有無、微小循環系の形態変化、血液脳関門機能の変化、血液脳関 門構成タンパク質に及ぼす影響を検討した。まず、その形態変化を免疫組織科学的に検討した。その結果、脳の小血管の平滑筋細胞層 の変質、内径の拡張を見いだした。本モデルマウスはCARASILのモデルマウスとなる 可能性が見いだされた。さらに、このモデルマウスは孤発性の脳小血管病に類似の病理像を示した。本モデルマウスの病態解明は孤発 性の脳小血管病、さらに血管性認知症の解明にも寄与する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
モデルマスの開発が順調に進み、その組織学的な表現型として、血管の平滑筋の変性、内径の拡大を示し得た。この手法の開発も終えており、期間内に研究を順調に進展させていると判断した。不確定事項として、動物飼育舎の改修が計画されており、これにより動物の繁殖に関して、若干の問題が生じる可能性がある。
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今後の研究の推進方策 |
今後は周皮細胞の変化の有無を、共晶点顕微鏡にて、定量的に検討する予定である。すでに組織片の抽出は進んでおり、周皮細胞を高率に描出しうる抗体の選定、さらにその定量方法の開発を行う予定としている。動物飼育舎の改修に関しては、マウスを一次的に移動させるなどして、対応が必要で有り、すでに複数の方法について検討を進めている。
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