研究課題
人の脳が、新しい事を学習したり・状況変化に対応したりする脳の柔軟な能力は、シナプスの可塑性という機序によることが判明している。人の脳を頭蓋骨の外から刺激して、この可塑性(柔軟性)を誘導する方法(QPS)を我々は開発した。この3年間で行った研究の概要を述べる。1 QPSへのBDNF多型の影響 これまで報告されていたすべての刺激法が、BDNFの多型により影響された。そこで、QPSでの効果誘導の度合いとBDNF多型との関連を検討したが、QPSの誘導効果はBDNF多型に影響されなかった。2 QPSの安全性に関して 検討したすべてのパラメータが、刺激の前後で変化する事はなく、QPSの安全性が確認された。3 QPS刺激での対側運動野の血流変化と刺激直下でのQPS刺激中の脳血流変化:NIRSによる解析 QPS5, 50共に、同側でも対側でも、またQPS5でLTPを誘導しても、QPS50でLTDを誘導しても、刺激中には同様に刺激部位で血流の低下を呈した。すなわち、刺激中には電気的な影響としては、どちらでも同様な効果を呈しており両方向性はないが、長期的な効果においては両方向性を呈した。4 一次感覚野へのQPSの効果 運動野刺激での運動野の変化というhomotopicな効果の誘導以外に、感覚野でheterotopicな効果もQPSで誘導出来る事が判明した. 5 rTMSによるパーキンソン病治療 この研究の成果は、パーキンソン病の運動症状に対して、磁気刺激が有効である事を確認したことである。6 QPS前後での脳内連絡の解析:fMRIによるfunctional connectivity 今回の結果では両方向性が示された。すなわち、QPS5で運動野のLTPを誘導した場合は、対側運動野との連絡は弱くなり、被刺激運動野の独立生が高くなり、QPS50でLTDを誘導した時には逆であった。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2013 2012
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 3件)
Brain Stimulation
巻: 6 ページ: 40-48
Neurology (in press)
巻: in press ページ: in press
Human Brain Mapping (in press)
J Neurophysiol
巻: 109 ページ: 1626-1673
Clin Neurophysiol
巻: 123 ページ: 1415-1421