研究分担者 |
清水 利彦 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (40265799)
柴田 護 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (60286466)
小泉 健三 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (30439070)
舟久保 恵美 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (90548538)
鳥海 春樹 慶應義塾大学, 医学部, 研究員(非常勤) (30528203)
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研究概要 |
片頭痛は前兆から頭痛へ進展する時間経過を示す疾患である.前兆は可逆性の脳局在神経症状で持続時間は60分未満とされている.前兆の病態には大脳皮質性拡延性抑制(cortical spreading depression;CSD)が関与すると考えられている.CSDは一過性に神経細胞が脱分極したあと電気的活動に抑制された状態が15分から30分間継続する現象であり,可逆的な神経症状として出現する片頭痛の前兆を説明できる.一方,片頭痛における頭痛は,何らかの刺激が三叉神経節に作用すると脳硬膜および脳硬膜血管に神経原性炎症が生じ血管透過性の亢進,血漿蛋白の流出,プロトンの放出,血管拡張などが惹起され生じる可能性が考えられている.片頭痛患者に認められる前兆から頭痛発作への連続的な移行の機序については,CSDが三叉神経節を含む三叉神経血管系を活性化する可能性が示唆されるが,詳細には明らかにされていない.そこで本研究ではこの移行機序のメカニズム解明を目的とした.平成22年度は,CSD誘発後の三叉神経節におけるERKのリン酸化について検討した.実験には,Sprague-Dawley種ラットを用い,動物を脳固定装置に固定し,左側頭一頭頂部に4x3mmの楕円形の頭窓を作成して硬膜を除去後,0.3MKCI溶液を滴下しCSDを誘発した.CSD誘発後,三叉神経節におけるERKのリン酸化についてウエスタンブロットにより,コントロールと比較検討した.CSDを誘発した動物群では誘発しなかった群(コントロール)に比較しERKのリン酸化が有意に増加していた.本研究結果はCSDが三叉神経節を含む三叉神経血管系を活性化する可能性を示唆するものと考えられた.
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