研究課題/領域番号 |
22390185
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
稲垣 暢也 京都大学, 医学研究科, 教授 (30241954)
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研究分担者 |
豊田 健太郎 京都大学, 医学研究科, 助教 (00447971)
松田 哲也 京都大学, 情報学研究科, 教授 (00209561)
富樫 かおり 京都大学, 医学研究科, 教授 (90135484)
木村 寛之 京都大学, 放射線同位元素総合センター, 助教 (50437240)
上田 真史 京都大学, 医学研究科, 助教 (40381967)
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キーワード | 糖尿病 / イメージング |
研究概要 |
本研究の第一の目的は、非侵襲的な膵島量の検知を行うために、MRIを用いた解析技術を開発することである。平成23年度は、平成22年度に確立した膵島分離条件で単離した膵島を用いて以下の実験を行った。まず予備試験の19F MRSのファントム実験でシグナルを認めた^<19>Fで標識したExendin(9-39)を1.1×10^4IEQの膵島へ30分暴露後、3回PBSで洗浄後に^<19>F MRSを施行した。しかしながら、明らかなシグナルの再現が認められなかった。そこで、単位細胞当たりのプローブ結合面積拡大を期待して、膵島を0.05%トリプシンを用いて膵島を単一細胞にした後に、^<19>Fで標識したExendin(9-39)の暴露実験を行った。しかしながら、明らかなシグナルの再現が認められなかった。予備検討の結果との乖離の原因として、消化酵素の変更に伴い膵島の消化状態が以前と異なることや、GLP-1受容体発現が^<19>F MRSで検知するには少ない可能性が考えられた。新たな条件確立や最適化は困難と予想されたため、単離膵島を用いる評価から細胞株を用いたin vitroでの評価系構築を行うこととした。具体的には、GLP-1受容体の発現ベクターを作成し、それをHEK293細胞にトランスフェクションし、GLP-1受容体を過剰発現させた上で上記と同様の暴露実験を行うこととした。そこで、ヒトGLP-1受容体のフラグメントをpcDNA^<TM>3.1/HisAベクターのマルチプルクローニングサイトに挿入を試みた。サブクローニングして得られたベクターをシークエンスを行って核酸配列を確認し、目的のベクターを得ることができた。今後は、実際にHEK293細胞にトランスフェクションしてGLP-1受容体の発現量を確認し、発現が十分であれば同様の暴露実験を行い、19F MRSによりシグナルが得られた場合には、事前に非標識Exendinの投与下と非投与下でシグナルを比較し、GLP-1受容体選択的結合かどうか評価する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
膵島分離酵素の変更を余儀なくされ、おそらくはそのために、予備検討で認められたシグナルが再現できなくなった。結果的にin vitroの評価計を新たに構築する必要が生じたこと。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度には、新たな評価に必要なヒトGLP-1受容体発現ベクターを構築できたため、今後は、実際にHEK293細胞に同ベクターをトランスフェクションしてGLP-1受容体の発現量を確認し、発現が十分であれば同様の暴露実験を行う。^<19>F MRSによりシグナルが得られた場合には、非標識Exendinの存在下と非存在下でシグナルを比較し、GLP-1受容体選択的結合かどうか評価する。十分量の発現が得られない場合には、今回使用したベクターを用いて、発現量の多い安定発現細胞株をサブクローニングし、同様の評価を行う。最終的には、野生型マウスに細胞移植し、^<19>F-MRIにより画像化が可能かどうかを検討する。以上の検討によって、プローブを用いた^<19>F-MRIにより非侵襲的に膵島を検知する基盤技術の可能性について証明できる。
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