研究課題/領域番号 |
22390187
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
石橋 俊 自治医科大学, 医学部, 教授 (90212919)
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研究分担者 |
大須賀 淳一 自治医科大学, 医学部, 准教授 (10334400)
野牛 宏晃 自治医科大学, 医学部, 講師 (60348018)
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キーワード | 脂質代謝異常 / 小胞体ストレス / 細胞死 / マクロファージ / コレステロール / オキシステロール |
研究概要 |
目的:NCEH1のオキシステロールエステル体水解活性を検討し、Nceh1欠損マクロファージにおける小胞体ストレス反応亢進のエステル化反応阻害効果を検証した。 結果:1)25-hydroxycholesterol(25-HC)にオレイン酸をエステル結合して25-HCのエステル体(25-HC oleate)を作成した。組換えアデノウイルスでヒトHSL、NCEH1、CEH、TGH1、TGH2をHEK293細胞に過剰発現した。HSLとNCEH1はCholesterol oleateと25-HC oleateに対して水解活性を示した(Vmax:1890vs46.5 pmol/min/mg蛋白、Km:23.7と6.4mM)。2)マウス腹腔マクロファージ(MPM)から超遠心法で細胞質と小胞体を分画し、中性CE水解活性を比較した。Nceh1欠損MPMでは小胞体分画の中性CE水解活性だけが選択的に低下した。3)培養MPMにオキシステロール類を添加して小胞体ストレスマカーのCHOPmRNA発現、アポトーシスをTUNEL染色で定量した。25-HCまたは7ketocholesterol(7-KC)添加後のCHOP発現は亢進した。野生型MPMに比較してCHOP発現が顕著に増強した。更に、ACAT非選択的 (CS-505)、ACAT1選択的 (K-604)、ACAT2選択的阻害剤(PPPA)を添加すると、Nceh1欠損MPM で認めるCHOP発現亢進は、CS-505とK-604でのみ抑制された。TUNEL陽性細胞数も同様の傾向を示した。Nceh1欠損MPM のCHOP発現亢進はNceh1/Acat1欠損MPMで消失した。 結論:Nceh1は25-HC oleateを水解する。その欠損はオキシステロール類添加によって誘導される小胞対ストレス反応を増強する。この現象はACAT1阻害で阻止される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
動物実験施設における飼育スペースの制限等により、実験に用いるマウス繁殖に遅れを来している。
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今後の研究の推進方策 |
遺伝子改変動物の骨髄を動脈硬化モデルマウスに移植し、その動脈硬化の定量的・定性的検討によって、マクロファージのコレステロールのエステル化と脱エステル化の病態への意義の解明を目指す。その為に、マウスを交配繁殖する。更に、細胞内のオキシステロール類を定量する系を確立し、その変化が小胞体ストレスを誘導する仮説を検証する。そのために、ガスクロマトグラム質量分析(GC/MS)、液体クロマトグラム質量分析(LC-MS/MS)で検証する。当施設には上記計測機器を保有しないため、共同研究者を探す必要がある。
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