研究課題
新規生理活性ペプチドHNP(Novel Hypothalamic Peptides)の摂食・エネルギー代謝調節機構における機能解析を行った。自由行動下のラット側脳室にHNPを投与すると暗期摂餌量が用量依存的に抑制され、その最少有効量は1.0nmolであった。HNPの12時間絶食後のラット側脳室への投与は、明期において摂餌量を有意に抑制した。浸透圧ミニポンプを用いて脳室内にHNPを2週間持続投与すると、人工髄液の持続脳室内投与に比し暗期摂餌量、24時間摂餌量および体重増加は有意に抑制された。摂食亢進ペプチドであるグレリンとHNPの同時脳室内投与にて、HNPはグレリンの摂食促進に影響を与えなかった。Conditioned Taste Aversionテストを施行し、HNPの摂食抑制は薬物毒性による反応ではないことを確認した。家兎に免疫してHNPに対する特異抗体を作製し、ラジオイムノアッセイを用いた高感度HNP測定法を確立した。自家作製抗HNP抗体によるRIA法にて、ラット全身組織でのHNPの免疫活性を検討した。湿重量あたり(N=5)では、中枢に高い免疫活性を認め、下垂体では346.7pg/mg湿重量、視床下部では11.84pg/mg湿重量であった。他に、膵臓では5.39pg/mg湿重量、副腎では1.98pg/mg湿重量の免疫活性を認めたが、消化管や腎臓など他の全身組織には免疫活性を認めなかった。以上より、われわれが同定したHNPは、視床下部や下垂体に主に局在し、中枢投与にて摂食を抑制する新たな生理活性ペプチドである。今後、HNP免疫活性の高い視床下部脳神経核でのHNPの局在を検討し、摂食調節機構におけるHNPの位置づけを明らかにする。
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