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2011 年度 実績報告書

Notch遺伝子の転写後調節による造血幹細胞の自己複製およびT細胞分化機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22390196
研究機関久留米大学

研究代表者

水野 晋一  久留米大学, 医学部, 講師 (40569430)

キーワード発現制御 / 発生・分化 / 免疫学
研究概要

本研究は、造血幹細胞およびT細胞分化におけるNotch1遺伝子の転写後調節の役割を解明することを目的としており、これまでにNotch1遺伝子の転写後抑制に機能するタンパク質を同定し、T細胞への分化制御機構の一端を解明することに成功した。そこで、Notch1遺伝子の転写後抑制の人為的解除によるNotch1遺伝子の役割解明として、責任タンパクの制御によるNotch1遺伝子の転写後調節の変化による造血幹細胞の自己複製およびT細胞分化に与える影響を検討した。その結果、責任タンパクのノックダウンによりT細胞系列への分化が促進され、Notch1遺伝子の転写後抑制が実際に造血幹細胞からT細胞への分化抑制に機能していることが明らかとなり、遺伝子の転写後抑制が細胞分化制御に重要な役割を果たしていることが示された。一方、Notch1遺伝子の転写後抑制は胸腺内で速やかに解除されることから、胸腺環境におけるNotch1の転写後抑制解除のメカニズムを解明するため、試験管内での責任分子のスクリーニングを開始している。現時点では、Notch1転写後抑制解除の責任分子は同定されていないが、新たにGFP-(Notch1)3'UTRベクターの蛍光強度を指標とすることで探索を継続している。また、ヒトの造血幹細胞およびT細胞性白血病(T-ALL)におけるNotch1の転写後調節の役割の解明として、特にT-ALLにおけるNotch1-3'UTR領域の遺伝子変異スクリーニングを開始しており、現在のところ変異・欠失等の遺伝子異常は見出されていないが、引続きヒト疾患におけるNotch1転写後調節領域の解析を継続し、疾患との関連につき検討してゆく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Notch1遺伝子の転写後抑制に機能するタンパク質を同定しT細胞への分化制御機構の一端を解明できており、次のステップである胸腺環境の実験に進むことができている。一方で、Notch1制御配列のコンディショナル・ノックアウトマウスはES細胞の段階に至り、これから個体におけるNotch制御の役割の研究により力を注ぐことが求められる。これらから全体として、(2)おおむね順調に進展している、と評価した。

今後の研究の推進方策

今後の研究の推進方策として次の研究を実施してゆく。まず、胸腺環境におけるNotch1遺伝子転写後抑制の解除機構のシグナルの探索として、胸腺環境を試験管内で確立し中和抗体による責任分子のスクリーニングを行ってゆく。同時に、造血幹細胞を対象に各種の人為的シグナル導入からGFP-3'UTRを指標としてNotch1転写後抑制解除の責任分子を探索してゆく。これらの実験から胸腺環境においてどのようなシグナルがNotch1遺伝子の転写後抑制解除に作用するかを明らかにし新しい細胞分化機構の解明を行う。次に、Notch1遺伝子の転写後抑制配列の遺伝子改変マウスを用いた機能解析として、Notch1の転写後調整に機能する3'UTR領域をコンディショナル・ノックアウトできるよう遺伝子を改変したES細胞からマウスを作製し、個体レベルにおいてNotch1の転写後抑制がどのように造血幹細胞およびT細胞分化に関与しているかを詳細に検討することから、Notch1遺伝子の転写後抑制機構のvivoでの造血およびT細胞分化への役割を明らかにする。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2011

すべて 学会発表 (1件) 産業財産権 (1件)

  • [学会発表] 新しい遺伝子検査法-がん融合遺伝子の新規探索法-2011

    • 著者名/発表者名
      水野晋一
    • 学会等名
      BioJapan 2011
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2011-10-07
  • [産業財産権] DNA分子の環状化において単分子による環状化DNAのみを選別する方法2011

    • 発明者名
      水野晋一、小澤秀俊、長藤宏司、岡村孝
    • 権利者名
      久留米大学
    • 産業財産権番号
      特願2011-189280
    • 出願年月日
      2011-08-31

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公開日: 2013-06-26  

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