研究課題
CD26分子のCD4T細胞における意義はかなり詳細に検討されているが、CD26分子のCD8T細胞機能はあまり明らかにされていない。そこでCD8+T細胞におけるCD26分子のCD8+T細胞機能発現をCD28分子のそれと比較検討した。ヒトCD8+T細胞におけるCD26陽性サブセットを解析したところCD26high(CD28+)は84%がCD45RA-CCR7-(エフェクターメモリー),CD26int(CD28+)は81%がCD45RA+CCR7+(ナイーブ)'、CD26-CD28-は78%がCD45RA+CCR7、(エフェクター)であることが示された。またCD26-CD28+は多くがCD45RA-CCR7-(エフェクターメモリー)であったがFACS上のdotの分析から複数の細胞集団から構成されていることが予測された。さらにCD28共刺激と比してCD8T細胞においては、CD26共刺激による増殖反応は早期(2-3日)では有意に弱かったが、培養後期(4-5日)では同程度の増殖反応が認められた。種々のサイトカイン産生に関してはCD28共刺激と比してCD26共刺激はTNF-αやIFN-γなどの産生は非常に強く誘導されたのに対して、IL-2やIL-5産生などはCD28と比して有意に弱かった。更にCD8T細胞の細胞障害活性の主たるエフェクター分子の一つであるグランザイムBの発現を解析すると、CD28共刺激と比してCD26共刺激においてCD26抗体の容量依存性にグランザイムBの発現が増強し、グランザイムB依存性にCD8T細胞は標的細胞の細胞障害作用が強いことが明らかになった。これらの研究結果から、CD26分子はCD8T細胞においてウィルスや腫瘍細胞への生体防御に重要な役割を果たしており、また自己免疫疾患や同種骨髄移植時のGVHDなどの病態にも重要な役割を果たしていることが強く示唆された。
2: おおむね順調に進展している
CD8+CD26+T細胞のCD8T細胞サブセットでの意義、CD28共刺激とCD26共刺激によるCD8T細胞の増殖反応、サイトカイン産生、グランザイムBの発現などに関して、CD28及びCD26共刺激ではその機能発現が異なっていることが明らかにできた。
当初はCD26抗体とcaveolin-1融合蛋白での免疫病の治療効果についての研究を行う予定であったが、実際の治療応用としてヒト化CD26抗体もすでに開発済みであり、またCD28共刺激ブロッカーとしてCTLA4Ig(アバタセプト)が関節リウマチ患者の治療としてすでに使用されているため、我々の確立したヒトT細胞がそのエフェクターT細胞として働くxeno-GVHDモデルマウスを用いてヒト化CD26抗体及びCTLA-4Igを使用してその効果や副作用発現予測などを行い、どちらの治療法が免疫病の治療としてよいかを検討することにした。
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