研究課題
【目的】関節リウマチ(RA)の自己抗原である、カルシウム依存性中性プロテアーゼ(カルパイン)の内在性阻害因子カルパスタチン(CS)とフォリスタチン関連蛋白(FRP)の炎症制御作用を追究し、RAの病態解明と治療戦略の確立を目指して、T細胞分化やサイトカイン産生における機序を検討した。【方法】1)ヒトCS最小ドメインcDNA組換レトロウイルスをマウスCD4+T細胞にトランスフェクトさせて培養し、サイトカイン産生とT細胞分化に関わる転写調節因子の発現を検討した。2)FRPがTLR4の共役受容体であるCD14と結合することから、FRPがCD14とTLR4を介して自然免疫反応を惹起する可能性を検討した。【結果】1)CS最小単位過剰発現T細胞ではRORgt抑制、STAT3リン酸化阻害、STAT5シグナル増強によりIL-17産生とTh17細胞分化を抑制し、またIkBaの安定化を介しNFkBシグナルを抑制してIL-6産生を抑制することを示した。CS過剰発現T細胞移入マウスでは関節炎の発現が有意に抑制された。さらに、CS過剰発現はヒトRA滑膜線維芽細胞のIL-6産生を有効に抑制することを証明した。2)ヒトFRPはヒトRA滑膜細胞のIL-6産生を促進した。マウスFRP高発現T細胞移入マウスでは関節炎が増悪したが、TLR4欠損マウスではFRPに無反応であった。TLR4シグナルに必要な3分子(CD14、MD2、TLR4)を欠損するHEK293細胞では3分子すべてを導入した場合のみFRP濃度依存性にIL-8産生が増加した。さらにFRPはLPSと同様にTLR4シグナルのトレランスを誘導した。【結論】カルパイン阻害が炎症性サイトカイン産生とTh細胞分化を抑制すること、自然免疫系でFRPはCD14を介してTLR4を刺激する内因性リガンドであることを明らかにし、RAの新たな治療標的の可能性を示唆した。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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