研究課題
原発性免疫不全症は免疫系遺伝子の先天異常により発症する免疫不全症で、ヒトの遺伝子機能の生体内機能の解明や病態形成機構の解明に大きな貢献をしてきた。高IgE症候群はその1つで黄色ブドウ球菌による皮膚・肺の感染症、アトピー性皮膚炎、血清IgEの高値を呈する。最近、我々がその原因遺伝子を世界に先駆けて発見したが、STAT3遺伝子のドミナントネガティブ変異が原因で発症する高IgE症候群においては、骨と歯牙の異常(独特の顔貌、骨粗鬆症、病的骨折、乳歯の脱落遅延、)の病態形成機構を明らかにするために、STAT3のドミナントネガティブ変異体を発現するコンディショナルノックインマウスを樹立した。STAT3の機能異常はLIFのシグナル伝達を障害して相同組換えをしたES細胞の生存・増殖に悪影響を及ぼす可能性があるため、野生型STAT3のcDNAをネオマイシン耐性遺伝子と共にloxP配列ではさみ、その下流にΔV463のSTAT3-DN変異を配置した。サザンブロッティングでhomologous recombinationしたクローンを選択し、8細胞凝集法でキメラマウスを作製し、高キメリズムのものを選択しC57BL/6マウスと交配、germline transmissionを確認した。このマウスと卵細胞特異的にCreを発現したマウス(ZP3-Creマウス)の雌とを交配し、全身にSTAT3-DNを発現するマウスを作製した。これまでの結果で、STAT3-DNを片アレルに発現するマウスでは血清IgEレベルが100倍以上に上昇し、IL-17の産生も低下することが明らかになっている。今後このマウスを用いて、その生体内における骨芽細胞と破骨細胞の機能を明らかにすることのより、高IgE症候群の骨と歯牙の異常を病態形成機構を明らかにする。
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