研究課題
平成25年度の主な研究成果は以下のとおりである。1)GC/MSとタンデムマスによる代謝異常の生化学診断:2013年の検査依頼数は、GC/MS分析で日本から832件、アジア諸国から819件、タンデムマス分析は日本2,252件、アジア諸国から676件であった。疾患内訳はアジア諸国で異なることがわかった。ベトナム、インドなどの南アジアでは、日本ではきわめて稀なβケトチオラーゼ欠損症、メープルシロップ尿症などが多い。βケトチオラーゼ欠損症ではベトナム人固有のコモン変異のあることもわかった。2)PPARアゴニストのベザフィブラート(BEZ)による脂肪酸代謝異常症の代謝改善効果の検討:培養細胞とタンデムマスを用いるin vitro probe (IVP) assayを用いて、BEZ大量添加による影響を検討した。グルタル酸血症II型重症型では遺伝子変異も欠失などが多く、BEZの効果が出にくい。通常の実験条件の約3~4倍量のBEZを使用したところ、重症遺伝子変異にもかかわらず蓄積したアシルカルニチンの軽減効果が観察された。BEZの薬理効果が、単純な酵素転写促進だけでは説明できない所見である。3)セレウス菌による急性脳症の機序解明:セレウス菌の毒素セレウリドを培養細胞に添加してIVP assayを行ったところ、グルタル酸血症II型に類似したβ酸化障害が観察された。今年度カンピロバクターと病原大腸菌のベロ毒素では、β酸化の障害作用は観察されなかった。4)低温環境の脂肪酸β酸化に及ぼす影響:低温下(33℃)でβ酸化能を検討したところ、脂肪酸代謝異常症の代謝障害が改善されることが観察された。高温下では長鎖脂肪酸代謝が抑制されたのと対照的な結果であった。急性脳症予防法の向上に有益な情報である。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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日本マス・スクリーニング学会誌
巻: 23 ページ: 270-276
http://mol.medicalonline.jp/library/journal/download?GoodsID=dc9massc/2013/002303/004&name=0270-0276e&UserID=202.250.215.249&base=jamas_pdf
日本マス・スクリーニング学会誌
巻: 23 ページ: 49-53
臨床病理
巻: 61 ページ: 817-824