研究課題
常染色体優性夜間前頭葉てんかん家系から同定された、中枢性ニコチン性アセチルコリン受容体のα4サブユニットをコードするCHRNA4遺伝子のS284L変異に相同する、ラットChrna4遺伝子のS286L変異遺伝子とラットChrna4遺伝子の発現調整(プロモーター)領域イントロンを導入したS286Lトランスジェニックラットを作出した。このダブルトランスジェニックラットは、常染色体優性夜間前頭葉てんかん患者の主要発作、episodic nocturnal Wandering, nocturnal paroxysmal dystonia, paroxysmal arousalsを獲得し、同時に脳波によるictalおよびinterictal dischargeの獲得をも確認したことから、常染色体優性夜間前頭葉てんかんモデルとしての表現的妥当性も確定した。現在、自発性けいれんを獲得した6系統のトランスジェニックラットの系統維持を進めている。また、皮質欠神てんかんモデルマウスであるCacnalaコンディショナルノックダウンマウスを用い、新機抗てんかん薬BSAM-1118の創薬にも着手した。BSAM-1118は、従来の抗てんかん薬とは明らかに異なる、最大電撃けいれんやペンテトラゾール誘発性けいれんに対しては全く効果が無い反面、Cacnalaコンディショナルノックダウンマウスの欠神発作を完全抑制し、従来の抗てんかん薬とは明らかに異なる抗けいれんプロファイルを獲得していたことから、難治てんかんへの、新たな治療薬の可能性が示唆された。加えて、このBSAM-1118は従来の抗てんかん薬とは異なる作用標的を有していることも明らかにし、神経伝達への直接作用だけではなく、グリア伝達調整機能を有している可能性を明らかにし、既存抗てんかん薬との差別化を進めている。
2: おおむね順調に進展している
常染色体優性夜間前頭葉てんかんの責任遺伝子(S286L)とナチュラルプロモーターを同時導入した遺伝子改変モデルラット(S286L-TG)の、自発性けいれんの獲得を確認した。
責任遺伝子の、病態成熟過程における役割(分子病態)の解析と、責任遺伝子の強制失活による、発症予防と根治の確認を、video monitoring EEG systemとmicrodialysisを用いた病態解析を行う。.
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