研究課題/領域番号 |
22390225
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
橋本 亮太 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 特任准教授(常勤) (10370983)
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研究分担者 |
安田 由華 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教 (20448062)
山森 英長 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座助教 (90570250)
岩瀬 真生 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (60362711)
数井 裕光 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (30346217)
武田 雅俊 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00179649)
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キーワード | 統合失調症 / 中間表現型 / ゲノム / 認知機能 / 脳画像 / 神経生理機能 |
研究概要 |
統合失調症は家族集積性が高く、遺伝要因と環境要因の両方によって発症すると考えられている。遺伝要因は、統合失調症の発症リスクに小さな影響をもたらす多数の遺伝子によると考えられており決定的な遺伝子は未だ見つかっていない。そこで統合失調症のリスク遺伝子は、その発症リスクを直接的に高めるのではなく、統合失調症にて認められる特徴的な神経生物学的な障害である中間表現型を規定し、その結果、統合失調症の発症リスクを高めるという新しい概念が提唱された。中間表現型は、遺伝性があり量的に測定可能で長期にわたり安定した形質で、認知機能、脳画像、神経生理学的所見などが知られている。応募者は、この中間表現型を用いて統合失調症のリスク遺伝子を見出し、創薬の基盤となる病態を解明することを目的とする。 本年度は、統合失調症のゲノムワイド関連解析で見出されたZNF804A遺伝子のリスク多型と中間表現型との関連を検討した。この遺伝子のリスク多型は、視覚性の記憶課題のN-backテストを用いた健常者の機能的MRI研究において、統合失調症で障害される背外側前頭前皮質と海馬の機能的な結びつきと関連することが見出されている。しかし、統合失調症患者におけるこのリスク多型の意義については不明であったため、中間表現型の一つである視覚性の記憶とこのリスク多型との関連を統合失調症患者において検討した。その結果、リスク多型を持つ統合失調症患者では、視覚性記憶の成績が低いことが見出された。ゲノムワイド関連解析にて統合失調症との関連を確認するためには、数万のサンプルサイズを必要としたが、本研究においては約百例のサンプルでこの関連を見出すことが可能であったため、中間表現型を用いた解析が統合失調症のリスク遺伝子の同定に役立つと考えられた。
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