研究課題
精神疾患のサイトカイン仮説に基づき、lipopolysaccharideを投与した、うつ病の動物モデルを作成している。作成の過程で、マウスの系統により、ストレス反応性が相当異なることが明らかになり、当初使用していたC57BL/6系統を、BALB/c系統に変更することとなった。飼育条件や投与量も調整を行った結果、0.8mg/kg, i.p.の投与により、24時間後にも強制水泳試験での無動時間が延長することがわかった。また、同じ条件で免疫組織化学を行うと、視床下部弓状核周辺では、活性化したマイクログリアが、24時間後にも分布していることが分かった。一方では、BALB/c系統マウスを用いて、強制水泳試験の際に活性化される神経回路、および抗うつ薬の前投与によって活性化される部位を同定しつつある。気分障害の病態における、神経炎症の深い関与が近年の研究から指摘されているが、我々は、脳内マクロファージとして自然免疫の中心的役割を果たすミクログリアの役割を重視している。今年度は本邦で広く使われているparoxetineやsertralineといった抗うつ薬が、抗精神病薬と同じような機序で、IFNγやLPSによるミクログリアの活性化を抑制することを報告した。更に、NMDA拮抗剤であるMK-801を用いた統合失調症モデルマウスを作成し、免疫組織学的手法や行動薬理・生化学的手法を用いて、このモデルに於けるミクログリアの変化を中心とした基礎的な検索を行った。
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