4チャンネル新型受信コイルは、商用最新の32chコイルよりも内耳領域で1.5から2倍の信号雑音比を確保できた。しかし、セットアップに熟練を要し、さらなる改善が必要と考えられた。造影剤投与のタイミングについては、4時間以降が最適と思われ、4.5時間でも劣化はなかった。6.5時間経過すると造影剤濃度が低下し始める。ただし3.5時間でも水腫診断の能力には遜色はない。画像撮像法では、反転時間の調整により、造影剤の分布した外リンパの信号を低下させた内リンパ陽性像PEI (positive endolymph image)の開発に成功した。画像処理法では、外リンパ陽性像 PPI(positive endolymph image)との差分により、一枚の画像で内リンパ、外リンパ、骨、空気を分離できるHYDROPS像を開発した。これは世界初の快挙である。さらにT2強調をPPIから差分するHYDROPS2像の開発にも成功した。これらはそれぞれ論文化している。つづいて、HYDROPS像の信号雑音比を向上されるためこの画像にT2強調像を掛け合わせることを発想し(HYDROPS-Mi2像)、その評価をおこなった。200倍という信号雑音比を達成した。この成功により、3次元再構成像の作成も可能となり、ついに内リンパの割合を半定量化することに成功した。臨床例のデータ取得を多数重ねた。 これらそれぞれについて英文論文を掲載した。
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