研究課題/領域番号 |
22390235
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
永田 靖 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (10228033)
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研究分担者 |
村上 祐司 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 講師 (10403528)
木村 智樹 広島大学, 病院, 講師 (90379876)
兼安 祐子 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (90204586)
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キーワード | 放射線治療 / 強度変調放射線治療 / 定位照射 / 画像誘導放射線治療 |
研究概要 |
本研究では、多列CTシミュレータと最新放射線治療計画装置、および画像誘導放射線治療システムとを用いて、以下の最新の体幹部定位放射線照射技術と強度変調照射技術の開発を行った。 1.四次元CT画像と呼吸同期CT画像との品質保証(QA)の確立と臨床応用 前年度に行った基礎実験に基づき、さらに四次元CT画像と呼吸同期CT画像との品質保証法を検討した。具体的には、体幹部定位照射の対象となる肺癌患者より四次元CT画像を撮像し、その精度を評価した。 2.臓器移動に同期した個別化放射線治療システムの体幹部定位照射適応の拡大 四次元治療計画を、呼吸性移動を伴う進行期肺癌患者への臨床応用を開始した。特に進行期肺癌は元々の腫瘍体積が大きいために、わずかのマージン縮小による合併症軽減効果が期待できる。また治療経過中に腫瘍形状が大きく変化する場合も予測されるため、四次元放射線治療計画の意義はきわめて高い。 3.VMAT(Volumetric modulated arc therapy)の臨床応用と適応拡大 VMAT(Volumetric modulated arc therapy)の臨床応用を行った。具体的には前年までに確立した頭頸部癌の臨床症例を多数例蓄積したのみならず、新規の拡大適応として、頸部食道癌、脳腫瘍、胸膜中皮腫への臨床応用を行った。 4.臓器移動に同期した個別化放射線治療システムの臨床的評価と画像誘導放射線治療システムの臨床的評価 以上の四次元治療計画を用いて、体幹部定位照射の肝癌、腎癌への適応を拡大した。特に、肝臓癌では、X線画像で腫瘍位置の確認が困難なため四次元放射線治療計画の意義は高い。現在までの肝臓癌に対する定位照射後の局所制御率は100%である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに四次元動画CT画像の実用化、VMAT(強度変調回転照射)法の確立、体幹部定位照射の適応拡大、IGRTシステムを用いた位置照合については、おおむね当初予定していた成果を実現している。 種々の呼吸位相画像を用いた四次元線量分布の作成については、今年度に成果を見込んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は四次元動画CTを用いた臨床応用の肺癌以外への適応拡大(膵臓癌等)、VMAT(強度変調回転照射)の食道癌や中皮腫に対する適応の確立、肝門部を含めた肝臓癌に対する体幹部定位照射の確立、IGRTシステムを用いた位置照合の客観的評価を行う。 また種々の呼吸位相画像を用いた四次元線量分布の作成について実現したい。
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