平成24年度での本研究課題では、病態モデル動物を用いた酸化ストレスの評価研究を昨年度から継続して行い、新たに生理機能イメージング化研究を開始した。病態モデル動物を用いた酸化ストレスの評価研究: 虚血性脳梗塞マウスによる酸化ストレスの評価、および、炎症性疾患マウスでの酸化ストレスの評価研究を高速化したEPRイメ-ジング装置とニトロキシド分子を造影剤・イメージングプローベとして利用し、生体での評価研究を実施した。生理機能イメージング研究: マウス脳における神経賦活化のイメージング研究、および、マウス脳での酸素・pHイメージング研究を、高速EPRイメージングシステムにより評価を行った。 EPRイメージング法の高速化は、磁場掃引速度を加速することで当初より更なる高速化が達成できた。 ナイトロオキシド造影剤の場合、6mTの磁場掃引を50ミリ秒程度で達成出来るようになった。マウスを使ったin vivo実験でも80ミリ秒の磁場掃引による画像化が可能となり、181プロジェクションという膨大な数の投影画像による三次元画像再構成を行ってもデータ取得時間は30秒程度となる。この高速化によりマウス頭部での三次元画像化が高精度で30秒以下で撮像することに成功し、生理現象を3次元画像として高精度で視覚化出来ることを明らかにした。マウス脳神経の賦活化の画像化実験を開始した。マウス脳の賦活化は、NMDAレセプターやアセチルコリンレセプターをターゲットとした刺激を用い、活性酸素(ROS)の生成に伴う酸化ストレスの亢進をレドックス画像として定量的な画像評価を行うことが可能となっている。現在、いろいろなレセプターをターゲットとしたナイトロオキシド造影剤を作成しており、これら造影剤を用いた脳機能イメージング研究を進めている。
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