研究課題
放射線治療に対する応答には個体差が存在し、治療効率を向上させるには腫瘍の放射線治療に対する感受性を予測する必要がある。平成19年度~平成21年度基盤研究(B)一般(課題番号19390326)「分子生物学的手法を用いた子宮頸癌の放射線治療効果予測因子の探索と検証」において、子宮頸癌患者血液を用いて放射線治療効果予測因子としてApolipoprotein C-II(ApoC-II)を同定し、ApoC-II Elisa-Kitを作成した。本研究では前向き研究として日本放射線腫瘍学研究機構(NPO-JROSG)婦人科腫瘍グループにおいて多施設共同で検討を行う。平成23年7月30日にJROSGにプロトコールを申請し、平成24年2月21日に承認された(JROSG 10-4)。平成24年2月1日に関西医科大学倫理委員会の承認(関医倫第0772号)を受け、平成24年3月1日に本研究を開始した。現在他施設において倫理委員会に申請している。また、癌組織を用いて、放射線治療予後良好群と不良群の2群に分けて、TaqMan real-time PCR arrayによるプロファイリングを行った。良好群における発現が不良群よりも有意に高かったのはmiR-200a(p=0.013)、miR-200b*(p=0.018)、miR-452(p=0.024)であった。反対に不良群が良好群よりも有意に高かったのはmiR-484(p=0.038)、hcmv-miR-UL70-3p(p=0.043)であった。とくに、miR-200aはE-cadherinに関与し、子宮頸癌の転移を抑制すると報告されている(Cancer Res 2010)。我々の検討でもmiR-200aが良好群に有意に高く発現したことから、進行期子宮頸癌の放射線治療後の予後予測因子として有用であると考えられた。
2: おおむね順調に進展している
本研究では前向き研究としてJROSG婦人科腫瘍グループにおいて多施設共同でApoC-II Elisa-Kitの有用性の検討を行うことを目的としている。プロトコールが平成24年2月21日にJROSGに承認された(JROSG 10-4)。平成24年2月1日に関西医科大学倫理委員会の承認(関医倫第0772号)を受け、平成24年3月1日に本研究を開始した。現在他施設において倫理委員会に申請しているので、着々と多施設前向き研究が進められている。一方,癌組織を用いたプロファイリングで放射線治療良好群にmiR-200a(p=0.013)が有意に高発現したことを見出したので、miR-200aは進行期子宮頸癌の放射線治療後の予後予測因子として有用であると考えられた。
本年度はApoC-IIの多施設前向き研究が順調に遂行され、目標症例数150例が達成され、ApoC-IIが放射線治療予後予測困子として有用であるか、否かの検討を目指す。また、症例数を増やし、平成23年度に得られたmiR-200aが進行期子宮頸癌の放射線治療後の予後予測因子として真に有用であるかを検証する。我々がゲノム解析で抽出した遺伝子群XRCC5、uPA、CD44、HIFlA、p63、BIK、TEGT、TTK、MMPにmiRNA解析結果を加えて、放射線治療予後予測モデルを構築する。
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