研究課題
本研究では、新規に開発したPET薬剤^<11>C-4'-thiothymidine(^<11>C-4DST)を用いて、がんのDNA合成速度をインビボで定量測定できる方法を開発し、その臨床応用に達することを第一の目的とする。次に、^<11>C-4DSTを用いたPETによるDNA合成速度の定量的測定に基づいたがん診断法を、脳腫瘍および肺がん患者へ応用し、^<11>C-4DSTの有用性を明らかにする。本年度は、^<11>C-4DSTについて、5例の脳腫瘍患者ボランティアを対象としたPET計測を施行し、^<11>C-4DSTの安全性評価(副作用調査)、目的機能を測定できるかどうかの有効性評価を行った。また、3例の健常ボランティアを対象とした全身PET計測から、被曝線量の推定を行った。^<11>C-4DST投与に伴う有害事象は認められず、実行線量は4.2μSv/MBqであった。^<11>C-4DSTは腫瘍組織に代謝的にトラップされ、全身計測イメージではDNA合成の盛んな骨髄を明瞭に画像化したことから、^<11>C-4DSTが目的の機能であるDNA合成活性を反映した動態を示すものと考えられた。以上の結果をもとに、脳腫瘍患者を対象とした有効性の評価に関する研究が承認され、現在までに計9名、11例での検査を実施している。^<11>C-4DSTの脳腫瘍への放射能集積は治療状況に応じて変化に富む集積性を示し、同時に撮像した^<11>C-メチオニンとは明らかに異なる結果を示している。特に、放射線治療や抗がん剤の治療に対する腫瘍細胞の反応性を鋭敏にとらえられる可能性が示唆された。
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The Journal of Nuclear Medicine
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