研究課題
本研究では、新規に開発したPET薬剤C-11標識4′-thiothymidine(4DST)を用いて、がんのDNA合成速度をインビボで定量測定できる方法を開発し、その臨床応用に達することを第一の目的とする。次に、4DSTを用いたPETによるDNA合成速度の定量的測定に基づいたがん診断法を、脳腫瘍および肺がん患者へ応用し、4DSTの有用性を明らかにする。本年度は、昨年度実施した4DSTの肺がん、脳腫瘍および骨髄腫への応用に加えて、さらに多くの腫瘍への展開や鑑別診断・治療効果判定といった機能診断への展開を行った。既に、300例以上の症例で臨床検査が実施されている。その結果、脳腫瘍では4DSTがメチオニンに比べてオリゴ系腫瘍の悪性度診断、炎症性疾患と悪性腫瘍との鑑別に優れることが明らかとなった。また、4DSTのみが造影MRIやメチオニンに比べて正確に腫瘍の臨床学的な治療反応性を反映することも明らかとなった。肺がんでは4DSTが造影CTやFDGと比べてリンパ節転移を最も感度良く検出し、かつ予後との相関を予測する結果が得られている。肺癌においても4DSTのみが造影CTやメチオニンに比べて正確に腫瘍の抗がん剤への反応性を評価できる可能性が示唆された。その他、4DSTは体幹部の様々な腫瘍(大腸がん、腎がん、頭頸部がん)を検出でき、鑑別診断にも有用であるとする症例が蓄積されつつある。動物PETを用いた研究から4DSTは急性炎症だけではなく慢性炎症においても鑑別診断に優れるとした結果が得られている。以上の結果から、4DSTの臨床有用性が明らかとなり、さらなる臨床研究の推進が求められる。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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