研究課題
これまで、我々は消化器癌に関連したmicroRNA発現を主に手術によって摘出された食道癌組織を用いて検証し、miR-21が食道癌の悪性化に関与することを明らかにした(CCR,2009)。ここ数年、血清や尿などの体液中からもmicroRNAの発現が報告されてきたが、その意義については不明である。我々の研究の目的は体液中のmicroRNAの意義を明らかにし、診断や治療などにmicroRNAが応用できるかどうかを検証することである。食道癌患者の化学療法の感受性のbiomarkerを検証するため、患者血清からmirVana(microRNA精製キット)にてmicroRNAを精製した。化学療法の感受性とmiR-21が負に相関していることが分かった。さらに、食道癌患者の手術前の血清中におけるmicroRNAを各種精製キットを利用し、血清全体やexosome(CD9,CD63発現にて確認済)のfractionにおけるmiR-21,miR-16の発現を主体に解析を行い、miR-21は主にexoxome中に存在していることが分かった。手術侵襲が少ない胆石やヘルニアの症例を対象として食道癌患者血清中におけるmiR-21発現を検証した所、食道癌においてmiR-21が有意に血清中に増加していた。miR-21は進行度(stage)などと相関傾向を示しているようなので、症例数を増やし検証していく。さらに、血清のexosome中のmicroRNAの網羅的発現解析のため、microarrayを行っている(sample調整中)。また、exosomeとmicroRNAのtumor microenvironmentにおける意義を明らかにするため、in-vitroにおいて食道癌細胞や間質系細胞(線維芽細胞など)からのexosomeを分離し添加実験を施行している。
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