研究課題/領域番号 |
22390247
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
馬場 秀夫 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 教授 (20240905)
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研究分担者 |
蒲原 英伸 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 准教授 (90398222)
渡邊 雅之 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 講師 (80254639)
林 尚子 熊本大学, 医学部附属病院, 非常勤診療医師 (20452899)
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キーワード | microRNA / Exosome / Cancer / 分子生物学 / 実験外科学 |
研究概要 |
消化器癌の発育・進展の制御にmicroRNA発現がどのように関っているかを明らかにするため、手術によって摘出された消化器癌組織を用いて検証し、各種microRNAが消化器癌の悪性化に関与することをこれまでに明らかにした(CCR 2009, Br J Cancer 2012, Ann Surg Oncol 2012, Ann Surg Oncol in press)。ここ数年、血清や尿などの体液中からもmicroRNAの発現が報告されているため、我々の研究の目的は体液中のmicroRNAの意義を明らかにし、診断や治療などにmicroRNAが応用できるかどうかを検証することである。食道癌患者の化学療法の感受性のbiomarkerを検証するため、患者血清からmirVana(microRNA精製キット)にてmicroRNAを精製した。化学療法の感受性とmiR-21が負に相関していることが分かった。さらに、食道癌患者の手術前の血清中におけるmicroRNAを各種精製キットを利用し、血清全体やexosome(CD9,CD63発現にて確認済)のfractionにおけるmiR-21,miR-16の発現を主体に解析を行い、miR-21は主にexoxome中に存在していることが明らかになった。手術侵襲が少ない胆石やヘルニアの症例を対象群として50例の食道癌患者血清中におけるmiR-21発現を検証した所、食道癌においてmiR-21が有意に血清中に増加しており、T・M stageと相関を示していることが明らかとなった。さらに、血清のexosome中のmicroRNAの網羅的発現解析のため、microarrayを行った。また、exosomeとmicroRNAのtumor microenvironmentにおける意義を明らかにするため、in-vitroにおいて食道癌細胞や間質系細胞(線維芽細胞など)からのexosomeを分離し添加実験を現在進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は3年間の科研費の最終年度となるが、科研費申請時に予定していた内容に関し、ほぼdataがまとまったため、現在論文としてまとめ、CCRに投稿するところである。
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今後の研究の推進方策 |
血清のexosome中のmicroRNAの網羅的発現解析のため、microarrayを行い、正常組織と比較して、癌部でより高発現・低発現しているmicroRNAを明らかにする。また、exosomeとmicroRNAのtumor microenvironmentにおける意義を明らかにするため、in-vitroにおいて食道癌細胞や間質系細胞(線維芽細胞など)からのexosomeを分離し添加実験を現在進めており、増殖・浸潤への影響を明らかにする予定である。 さらに、癌幹細胞マーカーの1つであるCD44発現細胞の発育進展に関与するmicroRNAを最近同定することができたため、現在癌幹細胞の制御に関わるmicroRNAの機能を詳細に検討している。
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