研究課題/領域番号 |
22390248
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
後藤 満一 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (50162160)
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研究分担者 |
斎藤 拓朗 福島県立医科大学, 医学部, 医監兼教授 (20305361)
穴澤 貴行 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (90566811)
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キーワード | 膵島 / 亜致死刺激 / 免疫寛容 / 細胞周期停止 |
研究概要 |
本研究では、細胞死を回避した膵島が免疫不応答を誘導する機構解析をおこなうことを目的とした。すなわち、分離膵島を用い、細胞死を誘導する亜致死刺激を与え、細胞死を回避した細胞がストレスに抵抗性を獲得するかどうか、また、細胞死を回避した細胞はホストの免疫応答を制御するかどうかについて解析をおこなう。 本年度は、膵島分離後、10μg/mlまたは100μg/mlのMitomycin-C(MMC)処理を30分間行い、引き続き37℃、5%CO2存在下で培養する系を用いて、膵島の中心部に低酸素ストレスを誘導した。100μg/mlの濃度のMMC処置では、膵島には電気泳動で核の断片化を伴うアポトーシスが誘導された。一方、非処置群では、培養3日目で、残存膵島数が著しく減少し、遺残した膵島の中心壊死が顕著になるが、10μg/mlの濃度のMMC処置ではアポトーシスは誘導されず、逆に、膵島の回収率が有意に良好で、また、HMGB1を表出する中心壊死が有意に抑制された。この機序には、p53-p21waf1の経路を含む機構を介して障害が軽減されることを、ウエスタンブロット法による生化学的検討により明らにした。p21waf1の細胞周期停止作用による代謝抑制が、培養によるストレスに対し防御的に働き、HMGB1の放出を軽減させ、このことにより生着延長が誘導されるものと推測された。 次年度以降は、他のsublethalな刺激を与えるモデル;endoplasmic reticulumを標的とする薬剤、ミトコンドリアを標的とする薬剤、また、MMCとおなじようにDNAを標的とする薬剤等を用いて、今年度の結果が恒常的な事象となりうるものかどうかを検討する。さらに、HMBG1を介する免疫応答がその中心的役割を演じるかどうかを、その特異抗体を用いた実験系においても検討する。
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