研究課題
Humanサンプルを用いて、肝切除後のNKT細胞およびPAI-1の関与を証明すべく免疫染色を行った。肝切除後3時間のサンプルにおいて、肝切離面近くにNKT細胞が集簇していることが確認され、また肝実質でのPAI-1発現の増強を認めた。強拡大ではPAI-1は肝細胞に発現していることが確認された。前年度までの結果と合わせて考慮すると、肝切除による物理的ダメージによりNKT細胞が増加・活性化してIFN-γを産生し、直接的か間接的かはまだ分からないが、肝細胞におけるPAI-1産生を刺激させ、切離面における癒着形成に関与している可能性が示唆された。前年度までの結果から、PAI-1発現は切離近傍の肝臓のみならず血中(ELISA)でも増加していることが確認された。肝切モデルは左葉外側を切除しているが、この際右葉でのPAI-1を測定したところ同部でも上昇しているのが確認された。また、小坂らによる腸管焼灼後癒着モデルにおいて癒着腸管および血中でのPAI-1上昇が確認されたが、肝でのPAI-1産生について検討した。すると、肝でのPAI-1発現が増強していた。以上より、腸管への物理的刺激や肝切後での癒着形成過程において、局所のみならず肝全体ででも産生され血中に放出され、全身反応として癒着が形成されている可能性が示唆された。つまり、癒着制御には局所だけでは不十分で、全身的制御も必要であることが示唆された。なお、これまでの研究結果については、現在欧文誌である”British Journal of Surgery”に投稿しRevise中(再提出)である。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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