研究概要 |
我々の研究の目的は、胆道癌における各種トランスポーター・酵素タンパクを網羅的・絶対定量を行い、感受性・耐性を決定するトランスポーターや酵素を同定することである。まず最初に我々が保有している胆道癌細胞株および抗癌剤耐性株を使用し、絶対定量法を確立する。トランスポーターの網羅的・絶対定量法は、細胞膜画分をトリプシン消化したペプチド断片を、LC-MS/MSにより、同定・定量するものである。また細胞質内に局在する各種酵素は細胞質分画から同様に蛋白質を同定・定量する。本手法により得られたトランスポーター・酵素プロファイルと抗癌剤IC50を比較検討することにより、抗癌剤感受性・耐性に寄与するトランスポーターを同定を試みた。 平成22年度は各種細胞株において、各種トランスポーターと酵素を同定・定量し、我々が想定していたABCトランスポーター、SLCトランスポーターの発現量よりも、塩酸ゲムシタビンの代謝酵素、特にデオキシシチジンキナーゼ(dCK),(シチジンデアミナーゼ)CDA量が、塩酸ゲムシタビンに対する薬剤感受性・耐性と強く相関することを明らかにした。今後は手術標本を用いた検討を同様に行い、組織における塩酸ゲムシタビン代謝酵素量をLC-MS/MSにより半定量する手法を確立する。 )
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