研究概要 |
我々の研究の目的は、胆道癌における各種トランスポーター・酵素タンパクを網羅的・絶対定量を行い、感受性・耐性を決定するトランスポーターや酵素を同定することである。まず最初に我々が保有している胆道癌細胞株・膵癌細胞株および抗癌剤耐性株を使用し、絶対定量法を確立した。トランスポーターの網羅的・絶対定量法は、細胞膜画分をトリプシン消化したペプチド断片を、LC-MS/MSにより、同定・定量するものである。また細胞質内に局在する各種酵素は細胞質分画から同様に蛋白質を同定・定量する。本手法により、トランスポーター(MDR1,MDR3,BSEP,MRP2,BCRP,ABCG8,MATE1,MRP1,MRP3,MRP4,NTCP,OAT2,OCT1,OATP1B3,OATP2B1,OATP1B1,ABCA2,ABCA6,ABCA8,MRP5,MRP6,OATP1C1,OATP4C1,CNT1,CNT3,ENT1,MCT1,PEPT1,OSTα,OSTβ)、酵素(CYP1A2,CYP2A6,CYP2B6,CYP2C19,CYP2C8,CYP2C9,CYP2D6,CYP2E1,CYP3A4,CYP3A43,CYP3A5,CYP3A7,CYP4A11,CPR,UGT1A1,UGT1A3,UGT1A6,UGT1A9,UGT2B7,UGT2B15)を定量することが可能となった。これらのトランスポーター・酵素プロファイルと抗癌剤IC50を比較検討することにより、抗癌剤感受性・耐性に寄与するトランスポーターを同定が可能であった。 平成23年度には、東北大学病院肝胆膵外科において切除術を施行した患者標本を、患者との書面による同意のもと、液体窒素にストックした。ある一定の検体が集まったところで、研究協力者の東北大学薬学部寺崎研究室との共同研究として、各種トランスポーターと酵素を定量を進めている。これらの定量結果と患者の医療情報を今後、対応させ、抗癌剤感受性・耐性予測とする。
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