研究分担者 |
舟橋 整 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (10347411)
岡田 祐二 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (10305550)
竹山 廣光 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (00216946)
小出 修司 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 臨床研究医 (90569261)
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研究概要 |
(1)膵癌症例における膵液中のCXC-chemokineの総和(ΣCXC-chemokine)は,正常膵由来よりも有意に高値であった.興味深いのは,今まで血管新生に関わると思われていたCXCL8だけでは両群に有意差を認めなかったが,CXC-chemokineの総和で差がでたことである.CXCL8を抑制するだけでは十分は抗腫瘍効果,抗血管新生効果を認めないがそのレセプターを抑制することの臨床意義が推測される.(2)同様に正常膵管上皮細胞より,膵癌細胞株8種類中7種類で培養上澄中のΣCXC-chemokineが正常膵より高値であった.(3)ヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)をはじめ,そのほかの血管内皮細胞計3種類でもすべてCXCR2(CXC-chemokineレセプター)陽性であった.(4)CXC-chemokineは血管内皮細胞の増殖および浸潤能を亢進した.これは,膵癌由来のCXC-chemokineでも同様に血管内皮細胞の増殖および浸潤能を亢進した.anti-CXCR2 Abはこれらの血管内皮細胞の増殖および浸潤能の亢進を抑制した.(5)血管内皮細胞および線維芽細胞を共培養する血管新生実験では,recombinant CXC-chemokine(CXCL1, CXCL5, およびCXCL8)は血管内皮細胞の管腔形成能を亢進し,その血管新生能の亢進はanti-CXCR2 Abで有意に抑制された.また,両細胞にdouble chamberを用いて膵癌細胞を共培養した実験系では,血管内皮細胞の管腔形成能はさらに亢進され,その亢進はanti-CXCR2 Abで有意に抑制された.以上より,anti-CXCR2 Abは膵癌由来のCXC-chemokineによる血管新生亢進を抑制することがin vitroで明らかにされ,今後はin vivoの研究を進める予定である.
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