研究課題
基盤研究(B)
虚血性疾患に対する外科的バイパス術後の移植グラフ血管、特に静脈グラフトの劣化やステント治療後の再狭窄などは、平滑筋増殖による内膜肥厚などの血管リモデリングが原因となっている。本研究では、ウサギ頸動脈バイパスモデルを用いて、ミクロ RNA-145(miRNA-145)が平滑筋増殖抑制に特異的に作用する性質を応用し、内膜肥厚抑制効果について検討した。コントロール群(遺伝子導入なし)とmiR-145導入群(自家静脈グラフトにエレクトロポレーション法にてmiR-145を導入)の2群に分け、日本白ウサギの頚動脈を自家頚静脈グラフトに置換し、その後の内膜肥厚について評価を行った。4週間後の新生内膜の厚さ及び内膜/中膜面積比は有意にmiR-145群で小さかった。また、平滑筋分化の指標であるSM-1及びSM-2免疫染色においてmiR-145群において増殖型が抑制され、細胞増殖の指標であるKi-67免疫染色でもmiR-145群において内膜肥厚部の細胞増殖が抑制されていた。以上の結果から、血管平滑筋フェノタイプを制御できるmiR-145を自家静脈グラフトへ遺伝子導入することで、新生内膜増殖による移植グラフトの内膜肥厚を抑制できるため、外科的バイパス術後のグラフト開存率が改善されることが期待できる。さらにはウイルスベクターを用いない遺伝子導入法を用いた事で、基礎研究段階から臨床応用への可能性も拡がったと考えられた。
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