研究課題/領域番号 |
22390267
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
森田 茂樹 佐賀大学, 医学部, 教授 (70243938)
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研究分担者 |
野出 孝一 佐賀大学, 医学部, 教授 (80359950)
中山 功一 佐賀大学, 工学系研究科, 教授 (50420609)
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キーワード | 再生医療 / 心不全治療 / 組織工学 / 心筋細胞 / 心筋再生 |
研究概要 |
本研究の目的は細胞のみで構築される立体心細胞体の構築及心不全治療への応用を目的とする。共同研究者の中山らが開発した細胞のみで立体組織片を作成する技術は、3次元培養法のスフェロイド形成、およびスフェロイド同士が組織学的に融合し立体構造体を作成する細胞の持つ性質を利用する。本年度は、まず細胞ソースの検索を行った。マウスES細胞を増殖し、既知のサイトカインを加えることで心筋に分化させ、既知の方法で精製し、大量培養、純化の条件検討を行った。次に構造体の機能評価を行った。市販のマウスES細胞由来心筋細胞を用い、99%純化した心筋スフェロイドを作成すると、スフェロイドは培養液中で2週間以上拍動を続ける。さらに、複数個の心筋スフェロイドを自然融合させることができる。融合したスフェロイドによる小構造体は組織学的に融合しており、Gap junctionの構成タンパクであるconnexin43を用いた免疫染色では融合部分、およびスフェロイド内部にもgap junctionを認めた。電気生理学的な検査では典型的なQRS派を検出した。以上の事から、マウスES細胞由来心筋細胞は(1)スフェロイドを形成する。(2)スフェロイド同士が融合してシンクロして拍動を開始する。以上の事が確認できた。さらに細胞のみで立体構造体を作製するシステムを利用し厚さ1mm程度の心筋細胞のみで形成される心筋構造体を作成した。本構造体は拍動は徐々に弱くなるものの2週間程度はvitroで拍動を続ける。作成後1週間以内程度なら構造体同士を再融合しシンクロさせる事ができる。などが確認できた。以上の所見は本システムによる心筋構造体はnativeの心筋と融合、シンクロして拍動する可能性を示唆するものと考えられた。
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