研究課題/領域番号 |
22390269
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
神田 圭一 京都府立医科大学, 医学研究科, 講師 (60295649)
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研究分担者 |
高見沢 計一 国立循環器病研究センター, 生体工学部, 室員 (10163312)
大場 謙吉 関西大学, 工学部, 教授 (30029186)
田地川 勉 関西大学, 工学部, 講師 (80351500)
上地 正美 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (90296426)
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キーワード | 自家組織 / 心臓生体弁 / 再生医療 / 組織工学 / in vivo |
研究概要 |
体内に埋入した人工物周囲に、生体防衛機構の働きによって繊維芽細胞とそれが産出するコラーゲン線維によって構成されるカプセル状組織体を心臓代用弁に応用するための技術開発を行っている。組織形成に体外の特殊施設を必要としないため、幅広い施設で応用可能であり、安全性も高いと考えられる。 自家組織からなるため、個体差にかかわらず安定して形成される技術が開発できれば臨床応用へのハードルは低いと考えられ、これまで人工弁の適応の難しかった小児や感染症患者への応用も可能であると考えられる。 23年度は A.22年度に引き続き手術的に植え込むBiovalve付きConduit部分を自家組織のみで形成し、かつバルサルバ洞形態を再現する技術開発を行った。 B.Aの鋳型を実際にビーグル犬や山羊の皮下に植え込み、組織形成性を評価した。 C.体外での機能評価実験を行いつつ改良を進め、形成された弁機能は向上した。 D.最適化されたバイオバルブを用いて実際に人工心肺を用いてビーグル犬の肺動脈弁位に移植を開始した。 E.更に体循環への応用を想定して、山羊を用いた移植実験モデル開発を開始中であるが、解剖学的に大動脈弁位に移植するのは実験モデルでは煩雑かつコストがかかりすぎるので、心尖部-下行大動脈間に非解剖学的に移植する手技開発を進めており、試験的移植を開始しつつある。 F.また鋳型設計を迅速に導入する鋳型作製技術として3Dプリンターを導入した。 G.QC(Quality control)として摘出前の形成過程の評価方法を開発中である。 H.新たな応用の可能性として、Biovalveを金属ステントに組み込む技術を検討し始めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
基材作製技術・形状設計による弁機能の最適化・動物移植実験モデルの開発はほぼ予定通りに進んでおり、移植実験のための環境も整いつつある。成果報告も着実に行っている。
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今後の研究の推進方策 |
耐久性試験と弁機能の改善など物理的な改良を継続する。鋳型設計や組織成長を促進する技術を行う。 また臨床応用に当たっては形成された自家組織のQC(Quality Control)をいかに確実に行うかが問題となる。動物種差・個体差の問題があり、実際に使用機会の大きな未熟児や老人における組織形成を摘出前に評価する方法が問われる。 現在、業緒に示したSHMシステムやカプセル内視鏡を用いた評価方法を検討中である。
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